漁獲量の減少から起きた「サバショック」で専門店のランチメニューが値上げされたが、さらに水産庁が漁獲枠を7〜8割減少させる検討に乗り出した。
サバの漁獲量の減少には地球温暖化によるプランクトンの減少が関係していると、専門家は指摘する。
「サバショック」でランチメニューが値上げ
東京都内にあるサバ料理専門店。

特製のしょうゆだれに漬け込んだ肉厚のサバを、ご飯の上に盛り付けるサバの漬け丼が人気だが、サバなどの原材料が高騰していて、2月3日からランチメニューの価格が1000円から1280円に値上げされた。
高騰の背景には、サバの漁獲量の減少から起きる「サバショック」が影響しているとみられる。

サバ料理専門店SABAR サバ博士・右田孝宣さん:
サバの漁獲量ですね。安定して取れるようになっていただかなければ、すごくわれわれとして不安です。
物価高騰が続く中、「庶民の魚」といわれるサバまでも高根の花になる可能性が高まっている。
サバ料理店の客:
2倍とか上がっちゃったら、もうちょっと普段の食卓にはあんまり上げられないかな。
水産庁が来年の漁獲枠を減らす検討入り
ほかの魚に比べサバは安く、刺身や焼き魚、煮付けなどさまざまな料理に使える、まさに庶民の魚だ。

しかしこのサバをめぐり、水産庁は5日、漁獲量を減らす検討に乗り出した。
2024年の漁獲枠35万3000トンから、2025年7月から2026年6月の漁獲枠を8割減の約7万トンとする案と約11万トンとする案が出ている。
これは、前年比7〜8割減にあたる。
なぜ減らすのか?

実は、国産のサバ類の漁獲量は、2018年に54万トンを超えて以降、年々減少している。
2023年には約26万トンと、7年で半減した。
そのため、悪化するサバ類資源の回復へ向けて漁獲枠を見直すことになった。
全国に11店舗展開するサバ料理専門店の右田社長もまた、サバ漁獲量の減少に経営の危機を感じている。

サバ料理専門店SABAR サバ博士・右田孝宣さん:
サバの量がこれ以上減ってくると、われわれの場合はサバがなかったら商売できないので、これ以上サバが少なくなってくることが怖いですね。
地球温暖化でサバの成長速度が遅く
今、“庶民の魚”サバに何が起きているのか。
専門家が指摘したのは、サバの成長速度だ。

水産研究・教育機構グループ長・由上龍嗣さん:
10年ぐらい前であれば、2歳で親になっていたのが、今だと4歳ぐらいになって、やっと親になるという状況なんですね。
地球温暖化による海洋環境の変化によって、太平洋でサバの餌となるプランクトンが減少し、そのため餌不足となり、サバの成長が遅くなっていると指摘する。

水産研究・教育機構グループ長・由上龍嗣さん:
親が少なくなると、次に生まれてくる子どもも減って、サバが減ってしまうとそういった状況になっています。
水産庁は3月にも、最終的なサバの漁獲枠を決定する方針だ。
(「イット!」2月10日放送より)