宮崎県のブランド牛、「宮崎牛」が初めてイスラム圏に輸出された。宮崎県西都市の食肉処理施設「SEミート宮崎」では、「ハラール」の専門知識を持ったバングラデシュ出身のイスラム教徒が戒律に沿って牛の処理を行い、輸出のために「ハラール認証」を取得。世界の人口の4分の1を占めるイスラム教徒への販路拡大をめざした第一歩となった。

2025年1月、宮崎県西都市に、イスラム教徒が食べられるよう処理された牛肉を乗せたトラックが姿を見せた。中東・カタールへの初めての輸出。宮崎牛の輸出拡大へ向けた大きな一歩だ。
出発式には、宮崎県内の畜産関係者など約40人が出席。食肉処理施設「SEミート宮崎」の有田米増代表取締役が挨拶したあと、テープカットをしてイスラム圏への初めての輸出を祝った。
イスラム教の戒律に沿って牛を処理

「SEミート宮崎」は、宮崎県内4つの畜産会社とミヤチクが協力して2024年2月に操業開始。アラビア語で、「許されたもの」を示す「ハラール」の専門知識を持ったバングラデシュ出身のイスラム教徒が、戒律に沿って牛の処理を行っている。

SEミート宮崎では、2024年8月にアラブ首長国連邦、10月にカタール、11月にインドネシアの専門機関からハラール認証を受け、12月にカタールとの二国間協議が成立した。
全世界をマーケットに
今回は、A5等級の宮崎牛のヒレ、ロース、肩ロース、ラム、イチボあわせて11ケース150kgがレストラン向けに輸出された。

SEミート宮崎 有田米増 代表取締役:
イスラム圏では、「和牛」というものがまだ伸びていない。我々が宿命として、イスラム圏への輸出を頑張っていかないといけないと思っている。

2023年度の宮崎県産牛肉の輸出額は約84億円で、前の年から6%増加した。アメリカや台湾などへの輸出がほとんどを占めていて、世界の人口の4分の1を占めるイスラム教徒向けに販路を広げることが課題となっていた。

SEミート宮崎 有田米増 代表取締役:
イスラム圏、世界人口の4分の1をターゲットとして送ることに意義がある。インドネシア、マレーシア、中東諸国に向けてのレールを引くことによって、お客様と生産者がつながるパイプとしての役目をやらないといけないと思っている。

この日「SEミート宮崎」には、「ハラール認証」の証となる証書も掲示されていた。「SEミート宮崎」では、カタール以外のイスラム圏の国々にも輸出を拡大し、欧米などで浸透しつつある「宮崎牛」のブランドを全世界で確立したいとしている。
(テレビ宮崎)