花火への情熱から「大曲の花火」で知られる秋田・大仙市に移住した女性がいる。移住してから11年。カフェを営みながらアマチュアの落語家としても活躍する女性を紹介する。

花火への情熱が導いた移住

大仙市の玄関口、JR大曲駅。駅舎の一角に、新幹線を待つ人や電車で通勤・通学する人が気軽に立ち寄れるカフェ「PLUS CAFE 大曲駅店」がある。

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このカフェで客をもてなしているのが、店長の後藤仁美さん(37)だ。

毎年8月、全国の花火師が集まり、その技術を競う全国花火競技大会「大曲の花火」。後藤さんは花火に引かれ、11年前に千葉・船橋市から大仙市に移住した。

とにかく花火が大好きで、移住前から全国の花火大会を巡っていた後藤さん。NPO法人が行っている「花火鑑賞士」という資格試験の講習会を受けるために大仙市を訪れるうちに、市内に知り合いも増え、移住を決意した。

大曲の花火について後藤さんは「他の花火大会と違うのは、花火師同士の大会なので花火師さんの思いが花火に打ち上がるところ。それが魅力」と熱く語る。

大仙市の窓口や地元の交流場として

後藤さんは、東京のカフェでアルバイトをしていた経験を生かし、移住から1年後に大曲駅にカフェを開いた。

オープンから10年が過ぎ、今では駅を訪れる人がほっと一休みできる場所として親しまれている。かわいらしいラテアートも、鮮やかな手つきだ。

韓国ののり巻き・キンパを大仙市産のコメで作った看板メニュー「大曲のキンパ」は、刻んだいぶりがっこに牛肉やホウレンソウなどがたっぷり入っている。新幹線の車内でも食べやすく栄養のあるものをと、後藤さんが従業員と一緒に考えた。

後藤さんはカフェについて「場所が駅なので、県の内外から来た人、大仙市に来た人の窓口として利用してもらいたい。地元の人にも来てもらっているので、地元の人の交流の場になればいい」と話す。

アマチュア落語家「麹家りんりん」の活動も

そんな後藤さんは、実は別の顔を持っている。

それは落語家。「麹家(こうじや)りんりん」という名前で社会人落語家として活動している。20代の頃は俳優を目指していたという後藤さん。様々なオーディションを受ける中で「特技を身に付けたい」と思い、落語の専門学校に4年間通って芸を身に付けた。

移住してからは、カフェを経営する傍ら落語会を開いたり、地域の忘年会などに呼ばれて落語を披露したりしている。

「私はアマチュアなので、アマチュアが秋田で落語という文化を根付かせて、聞く人が増えたら東京のプロの落語家も呼んで、地域活性化につなげたいなと思う」と意気込む後藤さん。

カフェや落語で大仙市に元気を

花火への熱い思いで移住してから11年。大仙市での活動を通して、様々な人とのつながりができた。

後藤さんは「10年間店を続けてこられたので、この先10年も変わらずに店をやっていきたいというのが目標。落語で地域活性をしていきたいのもあるし、大仙市に移住してきてくれた人たちのフォローをしていきたい」と今後の展望を語る。

カフェと落語を通して、後藤さんは大好きな花火のまちに、これからも花火のような大輪の笑顔を咲かせる。

(秋田テレビ)

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