4日(火)から9日(日)ごろまで続くとみられる、今シーズン“最強・最長”寒波。
さっそく北海道の太平洋側で“歴史的”な大雪になった。

帯広では4日(火)朝までのわずか半日で120cmもの雪が降った。
これは帯広での「観測史上1位」はもちろん、これまでの「国内歴代1位」の記録となった。
このあとも日本海側を中心に記録的なドカ雪となる予想で、北陸では24時間100cmの豪雪が続きそう。
長く居座る強烈寒波。その中で寒気のピークは2回。
いつまで何に警戒が必要だろうか。
珍しい… 約1週間続く寒波
通常、1つの寒波が影響するのは2日~4日間が多い。
記録的な豪雪となった令和3(2021)年1月は少し長く約5日間、福井県で約1500台の車が立ち往生した2018年は約4日間だった。
1週間も強烈な寒波が居座り続けるのは、ここ10年ではない異例の事態だ。
”最長寒波”ピークは2回
今回の寒波は、9日(日)ごろまでずっと続くと予想されているが、その中で寒気のピークが2回ある。

(1):4日(火)~6日(木)朝、(2):7日(金)夜~8日(土)だ。
それぞれの影響をまとめる。
寒気ピーク(1):4日(火)~6日(木)朝
4日(火)~6日(木)朝にかけては、上空5500メートル付近でマイナス36℃以下と、大雪の目安となる強烈な寒気が北海道~山陰付近まで南下する。
北陸付近には、さらに強いマイナス42℃以下と、数年に一度レベルの寒気が流れ込む。
また、地上で雪が降る目安の寒気は上空1500メートル付近でマイナス6℃以下だが、それよりもさらに強いマイナス12℃以下が、九州北部や中国地方まで南下する予想になっている。
北陸周辺には「JPCZ」と呼ばれる連なった雪雲が流れ込み、積雪が急増するおそれがある。

24時間降雪量は、北陸で2日続けて100cmの予想。この「100cm予想」は新潟県の山沿いなどでたまにあるが、2日間続く予想はあまりない。
▼24時間降雪量の予想(多いところ)
【4日(火)夜~5日(水)夜】
北海道地方:50cm
東北地方:80cm
北陸地方:100cm
東海地方:80cm
近畿地方:70cm
中国地方:50cm
四国地方:40cm
九州北部地方:50cm
九州南部:20cm
【5日(水)夜~6日(木)夜】
北海道地方:50cm
東北地方:70cm
北陸地方:100cm
東海地方:70cm
近畿地方:50cm
中国地方:50cm
四国地方:20cm
九州北部地方:30cm
九州南部:5cm
JPCZの動きで積雪急増エリアは変わるが、まずは6日(木)にかけて、日本海側を中心に平地も含めて災害級の大雪に警戒が必要だ。
また北日本では、5日(水)にかけて最大瞬間風速35メートルという台風並みの暴風が吹き荒れるため、ホワイトアウトにも十分注意していただきたい。
1回目の寒気のピーク後は、すぐ2回目のピークがやってくる。
寒気ピーク(2):7日(金)夜~8日(土)
この期間は再び冬型の気圧配置が強まり、上空1500メートル付近でマイナス15℃ぐらいのかなり強い寒気が九州にも入ってくる。
今の予想では、九州や四国・近畿・東海にも広く雪雲が流れ込みそうだ。
普段雪が降らない西日本~東海の平地でも積雪となるおそれがある。
風も引き続き強くなる予想で、暴風雪や高波にも警戒が必要だ。
“重い”ドカ雪になる?
今回、寒波が“最強”で“最長”であることが心配だが、もうひとつ気になるのが「雪質」だ。

日本気象協会・北陸支店によると、北陸地方の平地は、例えば東北のような“さらさら雪”はあまり降らず、水分を多く含んだ湿った“重い雪”がよく降るという。
今シーズンも寒気による冷え込みが十分でなかった時期も多く、このタイプの雪が多く積もっているそうだ。
今回は“最強・最長”寒波による大量の雪が予想される中、上空の寒気が緩むタイミングなどもあり、湿った雪が降ることも見込まれている。
この“重い雪”は、少ない量でも除雪の遅れや倒木、電線の断線による停電のリスクを高めるため、さらなる警戒が必要だ。
【執筆:フジテレビ気象センター・川原浩揮/協力:日本気象協会・福冨里香、北陸支店】