ソフトバンクとアメリカのオープンAIは、日本で大企業向けに生成AIの開発販売を行う新会社「SB OpenAI Japan」の設立を発表。企業ごとに専用にカスタマイズした最先端AIを提供し、最適化したAIで業務効率化と意思決定支援を行う。
専門家は、日本がAI分野で存在感を示すための重要な一歩となる可能性があると指摘する。
“日本発”企業向け生成AI新会社設立
ソフトバンクグループとアメリカのオープンAIのトップが、がっちりと握手。
生成AIの新会社を日本に設立すると発表した。

ソフトバンクグループ・孫正義 会長兼社長:
大企業向けの最先端のAI、これを世界で初めて日本から始める。

孫社長と、チャットGPTを運営するオープンAIのサム・アルトマンCEOは3日、東京都内で行った500以上の日本企業が参加するイベントで、大企業向けに生成AIの開発販売を行う新会社「SB OpenAI Japan」の設立を発表した。

ソフトバンクグループ・孫正義 会長兼社長:
この生成AIを導入した企業と導入していない企業では、マシンガンと剣ぐらいの違いがある。

OpenAI・アルトマンCEO:
AIは事業の効率化と経済的な恩恵をもたらすが、個人的には、AIが新しい知識を生み出すことに期待している。

新会社では、企業ごとにシステムやデータを統合し、専用にカスタマイズした最先端AIを提供し、業務の効率化のほか、会議での意思決定のアドバイスなどを行うとしている。
日本の“AI革命”加速につながるか?
「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい、経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
今回の合弁会社は、日本のAI革命の加速にもつながりそうですね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
今回のニュースは、日本のAI分野にとって非常に大きなインパクトがあると思います。
AI開発において、日本は国際的なプレゼンスを確立しているとは言い難い状況です。今回の動きは、日本がAI分野で存在感を示すための重要な一歩となる可能性があります。
今後、日本の企業がAIをますます活用して、様々な課題を解決することになるでしょう。そうすれば、日本の産業界全体にとっても大きなプラスになります。
ソフトバンクグループが年間4500億円という巨額の投資を行うことからも、このプロジェクトにかける本気度が伝わってきます。
企業の基幹システム改善・負担軽減が可能に
堤キャスター:
企業向けのAIということですが、具体的にはどのようなことができるようになるのでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
企業の機関システムのデータなどをAIに取り込んでいくと、そのデータはその企業にしかない固有の知識になります。そこにAIの推論能力が加わることで、長期視点からの経営改善も提案できるようになります。
具体的に、多くの日本企業は基幹システムを抱えています。例えば生産管理、販売管理、人事管理。こういったシステムは、老朽化や複雑化によってシステムの維持が困難になっています。
企業の基幹部分をなすシステム、資産なんですよね。この資産をAIを用いて保守改善ができるようになれば、随分と企業の負担が軽減できます。
また、システムにおける問題点の一つに、社員の退職による知識の断絶が挙げられます。
AIを導入することでこうした知識の断絶を防ぎ、企業内に知識を蓄積することが可能になりそうです。
堤キャスター:
このサービスの普及が日本企業の業務効率化に繋がるわけですね。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
そうですね。AI技術の活用やAI技術を使いこなすことによって、日本の企業が競争力を高めることに繋がると思います。
人間にしかできない仕事には価値があって、そこに独自性があります。AIを活用することで、そうした仕事により集中できる社会はもう目の前かもしれませんね。
堤キャスター:
世界でのAI開発競争が激化している中で、日本が存在感を示し、将来的には日本発のプラットフォームの誕生などにも期待したいです。
(「Live News α」2月3日放送分より)