中居正広氏と女性とのトラブルをめぐる一連の報道などに関して、27日午後4時から始まったフジテレビの“やり直し”会見。異例の400人以上が出席し、午後9時半現在も質疑応答が続いている。 会見冒頭で、フジテレビの嘉納修治会長は、当事者の女性に対し謝罪を述べた。
そして自身と港浩一社長の辞任を発表。 続いて港社長が、「この度はこのような事態を招いた責任を痛感」「全面的に協力して、真実の解明と再発の防止、企業風土の刷新にむけて尽力していきたいと考えております」とカメラの前で述べた。
■事案把握後の女性への対応

会見で分かったことを整理していく。
事案把握後の女性への対応について、
2023年6月 事案を認識 2023年8月 港社長に報告。
コンプライアンス室には報告せず 「プライバシーの観点で共有しづらかった。振り返ると違うやり方があったと反省」と述べられている。港社長への報告は、事案を認識してから2カ月後だったということだ。
亀井正貴弁護士:遅いと思いますね。コンプライアンスの部署は例えば被害女性のケアもしますし、それが会社としてのやり方としてやるわけです。いわゆるプロですよね。そこにまず情報提供すべきなんです。
亀井正貴弁護士:その際に重要なのは、被害女性の意思確認をちゃんとすることです。被害女性はいろいろ気持ちが揺れるし、判断も揺れてきますので、その都度例えばコンプライアンス室で扱っていいかどうかとか意思確認をした上で、コンプライアンス室に通知すべきです。
コンプライアンス室には報告しなかったということで、事案を認識してから情報共有までの対応は適切だったのか。
共同通信社編集委員 太田昌克さん:今日会見を聞いて一番印象に残ったのが、港社長が『人権侵害の疑いはあると思って対応している』と言っているんです。当時すでに人権侵害の疑いがあると思ってやっていたのかどうかまでははっきりしないのですが、これは相当人権に触れる話だという認識はあった。8月の報告を受けて。今日の会見で皆さんひたすらに、『彼女の意志を最優先した』と言っていた。じゃあ彼女の意思確認をきちんと6月から、体調も鑑みて心身を大事にしながら、『コンプライアンス室に相談していいですか』ということも彼女にちゃんと聞いていたかどうか。そこが問題だと思います。
■中居氏への対応

事案認識後、中居氏に調査が行われなかったということについて、 「多くの人間が知ることになり、女性のケアに悪影響があるのではと危惧」 「女性に中居氏から連絡がいくようであれば、さらに傷つくと考えた」 「女性とは医師を通じたコミュニケーションができず、状況が安定するまで待とうと考えた」
そして2023年7月に、中居氏からフジテレビに連絡があったということで、中居氏が女性と異なる認識を持っていることを把握。 当事者間で示談の動きが進んでいくとの情報が加わって、調査をちゅうちょする一因になったとしている。 中居さん自身にこのタイミングで調査する判断はなかったのか。
亀井正貴弁護士:これはもう20年前の発想だと思います。一応関係者は被害を受けたとされる女性から事実を一応聞いているわけですよね。そうするとそれを加害者の可能性のある人に聞く必要があります。事実を把握する意味において。それから加害行為かどうかの確定はできないとしても、可能性があるのであれば、その社員と中居さんと接触させることの問題性も考える必要があります。問われるのは会社の従業員、関係者に対する安全配慮義務を徹底しているかどうかという問題なんです。
■中居氏の出演番組は継続

中居氏の番組継続について、 2023年4月「まつもtoなかい」がスタート。 開始からまもなく唐突に終了することで、憶測を呼ぶことを憂慮 2024年1月 松本人志氏が芸能活動を休止。 このタイミングで、松本氏を理由に番組終了の機会があった可能性もあるが、出演を継続。中居氏は単発番組への出演あった。この判断が適切だったか、第三者委員会の調査に委ねるということです。 社員Aの関与について 2024年7月 女性が社員らと面談をし、社員Aに対する嫌悪感を示す。 面談した社員らは、社員Aが中居氏と女性との問題に関与しているとは認識しなかった。
2024年12月 週刊誌が報道。社員Aに複数回聞き取り。 社員Aは当日の食事会の存在を把握しておらず、「キャンセルしたこともない」と話し、スマホのメッセージ履歴を提出するなどした。中居氏や女性とのやり取りで関与をうかがわせるものを確認できなかったとしている。 トラブルについて、社員Aの関与があったかどうか分からないという判断になったということだ。
亀井正貴弁護士:社員Aに聞いて、社員Aのスマホのデータをとったけど分からなかったというところですけど、やはり周辺も洗ってみる必要があると思います。
■フジテレビ取締役相談役・日枝久氏の責任

そして指摘されているのが、取締役相談役の日枝久氏の責任だ。 会見では遠藤副会長が、「今後それぞれがどういう責任を取るかが重要で、第三者委員会の報告をめどにして、それぞれの役員が、それぞれの責任を取るべきだと思っている」と発言した。
共同通信社編集委員 太田昌克さん:日枝相談役は、どこまで当該案件に関与していたのか、直接関与はあったのかと記者から聞かれたら、港社長は『ございません』とはっきり明言していた。港さんの証言が正しければ、2023年6~8月の段階では日枝さんはこの案件を知らなかった可能性が高いわけなんです。一方で、番組を続けた意思決定がどうだったのか。これだけ重大な問題になるということは、人権侵害という認識があれば当然考えが及ぶ。その際に日枝さんがどういう判断を番組の継続についてされていたかということも、第三者委員会で厳しく問われる点だと思います。
■責任の取り方が法的責任なのか結果責任なのか

また会見冒頭では嘉納会長と港社長の辞任が発表され、港社長はこのように話した。
フジテレビ 港社長:事態を招いた責任を痛感している。社長・取締役を辞任した。第三者委員会の調査対象となっているので、全面的に協力し、真実の解明と再発の防止、企業風土の刷新に向け尽力していく。1月17日の会見については、テレビ局としての透明性や説明責任を欠くものだった。メディアの信頼を揺るがしたことを痛感している。
亀井正貴弁護士:いわゆる機関としての取締役の責任の取り方の問題なのですが、法的責任なのか、結果責任なのかということですよね。法的責任は善管注意義務を負っていますから、例えば安全配慮するような内部統制を構築する義務、それに対する違反なのか、何に対する違反なのか、そのあたりの責任原因が明確ではなかったと思います。
■「日枝さんが出てきてきちんと説明される必要はある」

「事態を招いた責任を痛感している」ということだが、真意がどうかだ。
亀井正貴弁護士:単なる結果責任と言っているのか、つまり顔だけ変えなければ、世間の納得を得られないから、結果責任なのか、法的責任まで含んでいるのかという。多少法的責任のニュアンスは出ていました。
共同通信社編集委員 太田昌克さん:街の声で若い方が『めっちゃテレビ好きで、新しい時代が欲しいんだ』っていう。まだ私たちメディアを信用してくださっている視聴者が、少なからずいらっしゃるっていうことですよ。期待というか信頼をこれ以上絶対失ってはいけないです。 今日=27日の会見が若い方の期待に応えられたかどうかっていったら、まだ私は疑問が大きく残りますね。やはり日枝さんが出てきて、どこかのタイミングできちんと説明される必要はあると。
■「どんな思いで女性が参加したのか、プライベートなのか明らかにしたほうがいい」

会見で新たに分かったことで、社員Aの関与についてがあった。今月、週刊誌の報道で「当該の食事会以前に社員Aが中居氏宅でのバーベキューに女性を誘い参加した」というものだ。 社員Aはこれについて「事実と認める」。中居氏については、事実と認めるも、女性との詳細なやりとりは確認できずだ。トラブルがあった食事会以前にも、食事会があったということも新たに分かった。
関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:社員Aに誘われて当該女性がどんな思いで参加したかが重要になってくると思いますし、会見の中でもプライベートなのか、プライベートじゃないのか線引きをどうするといった話が出ていましたが、社員Aがどういう思いで誘ったのかも大事ですし、女性にとって何かメリットがあったのかなかったのかもちゃんと調査の中で明らかにしたほうがいいと思いますね。
(関西テレビ「newsランナー」2025年1月27日放送)