厚生労働省は2025年4月から年金を1.9%増やすと発表したが、物価上昇2.7%に届かず実質の目減りとなり、高齢者は生活の苦しさを訴えている。専門家は、今後も年金上昇と物価上昇との差がさらに広がり、自由に使えるお金が減ると警鐘を鳴らす。

「物価高が大変。年金が追いつかない」高齢者の生活不安

東京都内の喫茶店で24日、寛いでいた高齢者が、安らぎの時間に飛び込んできた年金に関するニュースに不満をあらわにした。

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年金受給者(80代):
(年金が)もっと上がればいいけど、この日本の経済が発展しないんだからしょうがない。経済を活性化させないと、要するに年金だって上がらないってことですよ。

厚生労働省は24日、2025年4月からの年金支給額を前年度比1.9%増額すると発表した。物価や賃金の上昇を踏まえ、3年連続で増額となったが、賃金上昇率2.3%より0.4%低いほか、物価上昇率の2.7%とは0.8%の開きがあり、実質的には目減りとなる。

年金受給者(70代):
年金そんなに上がってませんから、物価高が大変。年金が追いつかない。

今、家計の大きな負担となっているのが物価高だ。キャベツや白菜などの野菜や米の高騰が続いている。さらに電気料金や燃料費なども軒並み上がっている中で、年金の上昇率は追いついていない。

巣鴨のとげぬき地蔵に来ていた年金受給女性は、このところの物価高に対して憤りをあらわにした。

年金受給者(80代):
高い!なにしろ高い。リンゴ1個250円だって。昔は100円で買えたのよ。ひどい!物価の上がり方が。(年金上昇しても)全然足りない。年金だけではとてもやっていけません。

一年に一度、巣鴨にお詣りにくるという80代の女性は、商店街で佃煮や山菜などの品を買ったという。

年金受給者(80代):
(1年前に比べて)物の値段が上がってる。

そして、口にするのは年金生活の心細さだ。

年金受給者(80代):
年金上がったって、いくらでもないじゃん。年金をあてにしては生活できない。無理無理。

専門家「今後も年金と物価の上昇の差異は開く可能性」

あんパンも値上がりしたと嘆く86歳の女性は、無年金者だった。

年金受給者(80代):
今、後悔してもしょうがない。無年金です。息子にお小遣いもらって生活してます。

年金問題について詳しい社会保険労務士の渋田さんは、年金と物価上昇率の差は、今後も開いていくと指摘する。

V-spirits社労士・渋田貴正さん:
世間的な物価上昇に比べたら、年金の上昇との差異はどんどん開いていく可能性があるわけです。物価の上昇率に追いついていないので、実質自由に使えるお金が減っている状況にはあると言えますね。
(「イット!」1月24日放送より)

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