東京都内の住宅街に置かれた「民泊反対」と書かれた看板。民泊用の集合住宅に宿泊する観光客の“マナー違反”が近隣住民を困惑させている。そのトラブルについて取材した。

「民泊反対」と書かれた看板がずらりと並ぶ住宅街

都内にある住宅街の一角を訪れた取材班。

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その周辺には「民泊絶対反対」と書かれた赤い文字の看板が並ぶ。

その宿泊施設は、外国人旅行客がよく利用する予約サイトに掲載されていて、料金は1万円と手ごろな価格だ。

現地に行ってみると、そこは閑静な住宅街で、民泊として利用されているこの建物に、宿泊施設を示す表記は一切ない。

物件近くに並ぶ看板
物件近くに並ぶ看板

一方で目につくのは、周囲に掲げられた「民泊反対」をうたった複数の看板だ。
こうした民泊反対の表記が、英語でも中国語でも書かれている。

近隣住民は「やっぱり騒音の問題っていうところもあります」「ガラガラとキャリーケースを引く音も聞こえる」「たばこの火花が落ちたときに、ぽっと燃えちゃったら大変」と困惑する。

住民から入手した映像には、キャリーケースを手に、大勢の外国人らしき旅行客が移動する姿や深夜11時を過ぎても響く笑い声が入っていた。

さらには周辺の路上に、お構いなしにたばこの灰を散らす姿なども記録されてた。

当初「アパートが建ちます」と聞いていたのだが…

しかし、住民が一番憤っているのは、この民泊がスタートした経緯にあった。

近隣住民:
もともと3階建ての“アパート”が建ちますというのは我々も理解していて、それがいざある企業が不動産を買収して民泊を始めますと、それは聞いていないと…。

建築主の業者とは別の業者が物件を買い取り、住民らの知らぬところで、宿泊施設としての営業許可を取得したのだ。

その後の説明会ではこういったやりとりがあった。

業者:
ウチは(建物を)買ったという形です。

住民:
建てた人間は来てないの?

業者:
あの…関係ないと言ったらおかしいが…。

住民:
関係ないってさ…そんなの通るの?

業者:
あ…通る…。

結局、周辺住民の理解を得ぬまま、2024年夏に民泊はスタートし、宿泊客は、この状況を現地で初めて知ることになる。

宿泊客は「予約するときは全然知らなかったけど、来て失礼かなって」「どうでもいいです。私に影響がないのなら」などと話す。

“民泊”届け出件数はコロナ禍前以上に

コロナ禍で減少傾向だった、いわゆる民泊の数はインバウンドの盛り上がりに伴い、再び上昇している。

それに併せる形で、トラブルも多く見られるようになったと専門家は指摘する。

立教大学 観光学部・東徹教授:
行政は違法性を問えなければ、何の手出しもできないというのがある。住宅地であるからこそ、生活、住民の暮らしに配慮することを徹底する以外に方法はない。

この民泊を運営する業者は「イット!」の取材に「取材はご遠慮いただいています」としている。
(「イット!」 1月14日放送)

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