受験シーズンが始まっているが、この時期、悪質な痴漢が毎年問題になる。
そんな中、周りの人が止めたケースが1割だという。
スマホを見ていて周りを見ていなかったりとか、気づいても止めに行こうというのが、なかなかハードルが高いかなと思われがちだが、さりげない行動でできることも多くある。
周囲の人による痴漢を防ぐ“力”に今、注目が集まっている。
約4割が痴漢被害、前回より増加
毎年この時期になると、SNS上で投稿されるのは、「遅刻できない」という受験生の心理につけ込んだ“痴漢チャンスデー”などの犯罪をあおる悪質な言葉。
この記事の画像(23枚)そういった痴漢の被害は、東京都が行った調査(令和6年度痴漢被害実態把握調査)では約4割(39%)の人が被害に遭ったことがあり、前回よりも増加している。
20代:
1回だけあって、すれ違いざまにお尻触られたこととかってありますね。結構怖かったです。通勤中だったんで遅れるわけにもいかないし、声を上げられずにいました。
20代男性:
電車乗ってる時に、「これ手かな?」みたいな。すごくモゾモゾしてるなっていうのはあったんです。
ーーどこが?
お尻らへん。ちょうど次の駅だったんで、すぐ降りて。男性もあるんだなあみたいな。(声を上げなかったのは)勘違いだったら、ちょっとあれかなぁと思ったんで。
被害に遭った人は、いずれも被害を申し出ることができなかったという。
このような一方で、大事になってくるのが周囲の目だが、街で聞いてみると…、
ーー痴漢を目撃とかされたことありますか?
10代(受験生):
いやないです。
ーー痴漢を目撃したりとかありますか?
10代:
ないです。
ーー周りで聞いたことあります?
ないです。
最近は、電車内でスマホ操作などをしている人も多く、そういった気づかれにくい背景もあってか、調査では被害を受けた人のうち、第三者が止めたケースはわずか10.5%だった。
この数字に、街の人からは…。
10代(受験生):
えー!ウソ?少ない。びっくりしました。(声を)上げにくい、上げても助けてもらえないと思っちゃう。
20代:
正直周りの人はあまり関わらないっていうのが、たぶん日本人は多いんで、そこは日本人として、もうちょっと改善すべきかなと思っています。
20代:
女性は怖くて声出ないし、ちょっと周りの方が気をつけてもらえるといいかなとは思います。
ただ、「目撃しても怖くて言えない」、「逆上されたらどうしよう」などの声もあった。
ではどうしたらいいのだろうか?
専門家に話を聞いた。
痴漢抑止活動センター・松永弥生代表理事:
必ずしも(加害者を)捕まえなくていいと思うんですよ。(捕まえるのは)私たち一般市民にとってはハードル高いですから。でも被害者を助けることはできると思うんですね。不安そうだったり、泣き出しそうな顔をしてたら、「大丈夫?」、「体調悪いの?」って声かけてあげるとか。だから皆さん、朝の電車でスマホばかり見るんじゃなくて、ちょっと周りにも目を配っていただけるといいなと思います。
青井実キャスター:
まさにそうですよね。見かけたらもちろん助けたいんですけど、見てるだけだと、もしかしたらこっちもなんか疑われちゃったりするんじゃないかとか。
遠藤玲子キャスター:
そもそも確かに言われてみると、スマホばかり電車の中で見ているので、周りにいても気づいていない自分がいるかもって、今ハッとさせられました。
竹俣紅キャスター:
そうですよね。なかなか周りのことを見ているかと言われると、自分の世界かもしれません。
ただ目撃した場合、犯人を捕まえに行ったり、声を上げたりではなくて、さりげない行動が被害者の方を助けることにつながります。
例えば、「大丈夫ですか?」と声をかけること、それから座っていた場合は席を譲って声をかけること、そして加害者の方をじっと見る、こういったことを東京都は打ち出しています(東京都痴漢撲滅プロジェクトより)。
(「イット!」1月10日放送より)