厚生労働省が9日、2024年11月の「毎月勤労統計調査」を公表。物価変動を反映した実質賃金は4カ月連続のマイナスとなった。一方でファーストリテイリングや明治安田生命では新入社員の初任給を引き上げる動きもあった。街の人の声は、給与は増えても「節約」「余裕がない」という声が多く、物価高が家計を圧迫している。
初任給アップも実質賃金は4カ月連続マイナス
9日、厚生労働省が公表した2024年11月の「毎月勤労統計調査」。その中で、物価の変動を反映した実質賃金はまた下がり、4カ月連続のマイナスになった。
9日のテーマは「初任給33万円も、実質賃金またマイナス。ソレってどうなの?」。

ユニクロなどを展開するファーストリテイリングは、新入社員の初任給をこれまでの30万円から33万円に引き上げると発表した。
明治安田生命も、2025年入社予定の新卒者のうち、全国転勤がある採用コースの初任給を27万円に引き上げる方針だ。固定残業代を含めた場合、実質の初任給が33万2000円と業界最高水準になるとしている。

驚きの金額だが、給与が上がっているのは新卒者だけではない。厚労省が9日公表した働く人1人あたりの給与の平均は30万5832円。前年の同じ月と比べて3%増えた。「毎月のお給料、上がってますか?」と街の人にも聞いてみた。
30代:
1月から異動になって別の店舗で働くことになったら、時給が100円アップになったので、もうちょっと上がってくれたらいいなと思います。
20代:
上がっています。仕事が変わったので、それで「役職手当」。上がったが、使えるだけ余裕があるかといわれたら、そんなに今までと変わらない。節約してます。
給与は上がっているという声が多いが「節約」「余裕がない」という声があった。その原因は一体何なのか。
30代:
3歳の子どもが1人いる。夫と子供の食費を考えると、まだまだ物価高だと毎日スーパーで思います。
50代:
基本的に物価に合わせた(給与の)上がりは感じてないです。つらいです。ここに来て円安も追い打ちをかけてる感じです。

物価の上昇を反映した「実質賃金」は4カ月連続のマイナス。前の年の同じ月と比べて0.3%減っている。厚労省によると、「年末賞与を支払うところが一部あり、全体の賃金が伸びた一方で、物価も上昇したためマイナスとなった」という。物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない状況が続いている。
生活に直結する食品値上がりも負担に
SPキャスターパックン:
去年の春闘は満額回答する企業も多く、平均で5%以上給料が上がっているんです。それでも間に合ってないんです。2025年はぜひ交渉を待たずに率先して給与を上げていただきたいですね。非正規社員の賃金も上げましょう。お願いします。

青井キャスター:
物価高の影響ですが、毎日スーパーを訪れるお客さんも実感しているようです。物価高の象徴とも呼べるキャベツ。兵庫・尼崎市のスーパーでは1玉1090円となっています。ついに4桁の大台を突破するスーパーも出てくる事態となっています。
安さが売りの東京・練馬区のスーパーアキダイ関町本店でも、買い物客からはこんな声が聞かれました。
買い物客:
特に葉物は高い。キャベツとかは。キャベツはここ何カ月も買ってないですね。必要ですが、食べなくてもどうにかなるので。キャベツなんて買わない時期があったのは初めてです。
買い物客:
犬がキャベツを1個を2日で食べるんです。だから自分の家のものは最小限に魚とホウレンソウを買っただけで、何せ犬の方が野菜食べてます。

他にも2024年は令和の米騒動と呼ばれるほど、米の価格が上昇した。私たちの生活に直結する食品が値上がりしている。さらに、16日から再び補助金が縮小されるガソリン価格も上昇する見込み。
家計への負担が一層増すことになりそうで、実質賃金がプラスになるには、物価上昇を賃金の伸びが超える事が必要だ。「経営者の皆さん、どうかお願いします」という声が聞こえてきています。
(「イット!」1月9日放送より)