岩屋毅外務大臣が25日、中国人観光客向けのビザを最長30日に延長し、さらに富裕層向けに10年ビザを新設すると発表した。訪日客の急増で消費拡大に期待が広がる一方、マナー問題や観光公害の懸念も高まっており、国や自治体による受け入れ対策が急務となっている。

観光ビザが長期化へ…“10年ビザ”を新設

2024年のキーワードの1つ「インバウンド」。年の瀬も海外からの観光客が大勢いた。そんな中、岩屋外務大臣が中国人の観光客向けの新たなビザの要件を緩和すると表明した。

日本を訪れる観光客
日本を訪れる観光客
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26日のテーマは、「中国人富裕層に”10年ビザ”どんな影響?ソレってどうなの?」だ。

ビザの要件緩和は、25日北京で中国の王毅外相と会談した後の会合で、岩屋外務大臣が表明した。団体観光客向けのビザが最長15日から30日に延長し、さらに富裕層向けに10年間で何度も渡航できるビザが新たに設けられることになる。

中国人観光客:
良いニュースですね。今回東京だけの観光ですので、10年ビザになったら大阪や名古屋に行きます。

中国人観光客:
とても良いと思います。日中両国の友好交流がしやすくなります。友好関係は観光からですよ。よく日本に来るので、次回は必ず10年ビザに切り替えます。

SPキャスターパックン:
実は15年前まで、中国人の一般の個人観光客はビザが取れなかったんです。取れるようになっても年収制限があったんです。それが緩和されて、今のインバウンドブームにつながったんです。これも段階的には次のブームを起こすかもしれませんけど、オーバーツーリズムなどの問題は懸念されますね。

青井実キャスター:
中国人向けのビザの要件が緩和される背景には、こんな数字があるんです。2024年、日本を訪れた外国人観光客は11月までに3300万人を超え、コロナ前で最も多かった2019年を既に上回りました。

青井キャスター:
一方、中国人観光客は2023年の2倍以上になっていますが、2019年の数には300万人以上届いていないんです。多くの中国人が買い物に訪れるお店に聞きました。ビザの緩和で観光客は、さらに増えそうじゃないですか?

フリークマーケット・今野大店長:
上野に来る中国のお客さんは多いから、また増えるのは良いことじゃないですかね。うちの商材だと好きで来るから、来た時にドバッと(買う)感じです。

青井キャスター:
政府はビザの要件を緩和することで、中国の富裕層の消費を期待しています。一方で、こんな声も聞かれました。

銀座の街にいた人:
経済が活発になるのはいいと思うが、マナー的な話になると「ちょっと…」という心配はあります。日本が“中国化”してしまわないかという心配もあります。

オーバーツーリズムが深刻化…国や自治体が中心となり法整備を

青井キャスター:
マナー違反をする一部の中国人を気にする人もいました。ビザが10年になると、どんな影響が出るのでしょうか。

札幌国際大学短期大学部・和田早代教授:
今回のビザの緩和によって、さらに(訪日中国人数が)伸びることは期待して良いと思います。心配なのは、オーバーツーリズムですね。すでに日本の受け入れ自体に課題が生じています。観光客に対応した料金や税金、地元に住んでいる人を守っていく対策は必要になると思います。

青井キャスター:
今、日本各地で深刻化しているのが、オーバーツーリズム、いわゆる「観光公害」です。富士山の見えるコンビニ前で繰り返される危険な横断や、人気漫画の舞台になった踏切での撮影がありました。解決するには何が重要なのでしょう。

札幌国際大学短期大学部・和田早代教授:
国や自治体が中心となり法の整備をしたりでしょうか。受け入れるのは結局一般の企業、ホテルが多いと思うので、一つ一つの企業がやりやすいような手厚いサポートが国ぐるみ、自治体で必要だと思います。

今回の緩和措置は、中国側が日本人向けの短期ビザの免除を再開したことに応える形となっている。
(「イット!」12月26日放送より)

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