2024年のプロ野球、セ・リーグは巨人が4年ぶりに優勝し、パ・リーグはソフトバンクが4年ぶりに制覇、日本シリーズでは、リーグ3位から勝ち上がったDeNAが26年ぶりに日本一の栄冠を勝ち取った。
フジテレビ系列12球団担当記者が、そんな2024年シーズンを独自の目線で球団別に振り返り、来たる2025年シーズンを展望する。
第4弾は、3年ぶりの最下位に終わった埼玉西武ライオンズ。
予想された貧打…39試合目で自力優勝消滅
2023年5位の西武。
主砲・山川穂高(33)がFAで去り、打線に不安を抱えるも、2024年は優勝するしかないという強い覚悟を持ち、“やる獅かない”のスローガンを掲げて臨んだ松井稼頭央監督2年目のシーズン。
開幕直後は順調すぎるスタートだった。
開幕投手にはプロ8年目で初となる今井達也(26)を抜てき。楽天打線相手に7回11奪三振無失点。圧巻の内容で白星スタートを決めると、チームは開幕から3カード連続で勝ち越し。
10試合終了時点では、リーグ優勝したソフトバンクと6勝4敗で首位に並んでいた。
しかし予想されていた貧打は想像以上だった。
11試合目から7試合で、わずか9得点しか奪えず7連敗。
4月末にはソフトバンクに3試合連続サヨナラ負けを喫するなど、最初の勢いはどこへ、4月終了時にはすでに借金を10個も抱えた。
その後も悪い流れは取り戻せず、5月には8連敗。
ある日の試合後、選手達へ向けられていた声援はブーイングや罵声に変わった。
すると、39試合目で自力優勝の可能性が消滅。その責任を取り、5月26日、松井稼頭央監督が休養を発表。渡辺久信GMが監督代行を務めることとなった。
暗闇の中でも光ったエースとドラフト1位の輝き

チーム状態が悪い中でも、3球団競合のドラフト1位ルーキー武内夏暉(23)は輝きを放ち続けた。
4月3日オリックス戦で7回7奪三振無失点でプロ初登板初勝利を挙げると、5月は圧巻の成績で月間MVPを受賞。
【武内夏暉 5月成績】
防御率0.63 3勝0敗
※ルーキーの月間MVP受賞はパ・リーグでは2015年8月度の髙橋光成以来
夏場に疲労から4連敗し失速したものの、最終的には球団ルーキーでは07年岸孝之(現・楽天)以来17年ぶりとなる2桁勝利を達成。
規定投球回もクリアし、リーグ2位となる防御率2.17を記録、新人王に輝いた。
【2024年成績】
武内夏暉 防御率2.17 10勝 6敗

初の開幕投手を務めた今井達也(26)も1年間、チームを引っ張った。
援護点が入らない中でも、持ち前のスタミナで粘り強く投げ続け2年連続の2桁勝利。さらに、自身初となるタイトル、奪三振王に輝いた。
すでに25年の開幕投手にも内定している。
【2024年成績】
今井達也 173回1/3イニング 防御率2.34 10勝8敗 187奪三振
止まらなかった悪すぎる流れ
今井と武内だけではチームの流れは止まらない。

6月11日広島戦、1点を追う9回2アウト二塁、一打同点のチャンスで、キャプテン・源田壮亮(31)がファーストゴロに倒れた。執念のヘッドスライディングも実らず、その場で源田はうずくまった。そこに7回2失点と好投した今井が涙ぐみながら支えた。勝ちたい気持ちと、結果が結びつかない。
前身の西鉄が1971年に記録して以来、53年ぶりとなるシーズン2度目の8連敗となった。
その後、7月・8月と4カ月連続で8連敗を喫し、9月10日には3年ぶりとなるシーズン最下位が確定。
優勝したソフトバンクには42ゲーム差をつけられ、2024年シーズンが幕を閉じた。
【西武ライオンズ 2024年成績】
49勝91敗3分け 勝率.350 防御率3.02(パ4位) 打率.212(パ6位)
歴史的低迷からの巻き返しへ キャプテンが若手に言及
前身の西鉄時代を含めるとパ・リーグ最多23度のリーグ優勝、13度の日本一を果たしている常勝軍団の低迷は深刻。
2018・2019年にリーグ連覇を経験した増田達至(36)、岡田雅利(35)、金子侑司(34)、強いライオンズを知る3選手も2024年に引退した。
シーズン終盤、悔しさが募るキャプテン・源田に話を聞いた。

源田壮亮:
「悔しさしかないシーズンなんですけど、若い選手がいっぱい試合に出て、これをみんなで来年どう生かしていくかっていうところが大事かなと思っています」

その中で源田は、104試合に出場し存在感を示した西川愛也(25)について言及した。
源田壮亮:
「本当に走攻守ですごくハイレベルな選手なんですけど、もっとリーグを代表するような選手になれると思う。バッティングも天才的な部分が大きくて、多分プロ野球で一番すごいバッティング練習してるなって僕は思っているので、すごく期待してます」
【2024年成績】
西川愛也 打率.227 6本塁打 31打点 8盗塁
源田が言うように、24年は多くの若手選手が出場した。

西川に続くのは、4番でチームトップタイとなる32試合に出場した山村崇嘉(22)だろう。
23年まで一軍出場はわずか4試合。24年は多くの一軍投手と対戦し、得点圏打率.311と勝負強さを見せ、持ち前の打撃力で大器の片鱗を示した。
【2024年成績】
山村崇嘉 打率.219 2本塁打 23打点
投手は今井、隅田、武内と安定感抜群の先発陣。
若手では高卒3年目の羽田慎之介(21)と菅井信也(21)がプロ初勝利を挙げ育ってきている。
ただ、そこに絶対に入ってこなければならない投手がいる。かつてエースとして3年連続2桁勝利を挙げるも、24年は0勝11敗に終わった髙橋光成(27)だ。

春季キャンプ中に右肩の張りを訴え出遅れると、シーズンに入っても調子が上がらず、開幕から11連敗。エースの復活が来季の順位を左右するといっても過言ではない。
髙橋光成:
「今年は投球フォームも探り探りで、ケガもありましたし、球速もでなかった。フォームをガラリと変える時期だと思っていて、今はそこに集中しています」
【2024年成績】
髙橋光成 防御率3.87 0勝11敗
チーム再建へ「ついにこの日が来たな」

来季チームを立て直すのは、西武一筋21年間投手としてプレー、MVPや沢村賞など数々のタイトルを獲得し、通算182勝を挙げた西口文也監督。
就任会見では…。
西口監督:
「ついにこの日が来たなっていうかね、もうそういう思いだけです。
打てなかったことが、この6位という順位になり、ここをどうしようかなと、監督を引き受けてから頭の中でぐるぐるといろいろと考えています」
もちろん課題は打撃。豊富な先発陣を援護する打線を組めるかがカギとなるだろう。
コーチ陣も大幅変更。ヘッドコーチに鳥越裕介、野手チーフ兼打撃コーチに仁志敏久、内野守備走塁コーチに大引啓次など外部から招聘し再起を目指す。
西口監督:
「今年はベルーナドームから西武球場前駅まで帰る足取り、重かったと思います。来年は少しでも足取りが軽くなっていただけるように精一杯頑張っていきますので、またこれからも応援お願いします」
歴史的とも言える、屈辱的なシーズンを味わった西武ライオンズ。
ただ、これ以上どん底に落ちることはない。
来シーズン、ファンが足取り軽く家路につけるよう、多くの勝ち星を積み上げ、這い上がっていくだけだ。
(文・間下弘規)
『すぽると!』
毎週(土)24時35分~
毎週(日)23時15分~
フジテレビ系列で放送中