2024年夏に、新潟市の動物愛護センターで急増していた保護ネコ。センターでは、これ以上増えると保護しきれなくなるため、里親を募集していた。4カ月が経ち、保護ネコはどれほど譲渡できたのか…保護ネコをめぐる現状を追跡した。

保護ネコ急増で収容スペースひっ迫…

新潟市中央区にある動物ふれあいセンター。

動物ふれあいセンター
動物ふれあいセンター
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このふれあいセンターにいるのは、自らドライフードが食べられるようになるなど人にもなれて譲渡できるようになったネコたちだ。

2024年8月に取材した際、動物ふれあいセンターの笹川元さんは「入ってきたときに、例えば後ろ足が動きづらいとか、風邪をひいているとか、目やにが出ているとか、そういった子を治療して健康状態を確認した上で譲渡している。いい飼い主さんたちにもらわれるよう努めていきたい」と話していた。

引き取られたネコ
引き取られたネコ

通常は、ふれあいセンターの飼育室にいる人との接し方になれてきたネコが優先して譲渡されていく仕組みになっているが、「非常に収容数が切迫している。保健所の愛護センターに収容されているネコも譲渡の対象として紹介させていただけたらと思う」と笹川さんは話した。

例年の2倍近い子ネコを保護…

2024年8月時点では、例年の2倍近い67匹の子ネコを保護していて、収容できるスペースがひっ迫。動物愛護センターにいる、まだ人なれしていない状態のネコでも譲渡の対象にせざるを得ない状況だった。

取材をした日も、世話ができないという理由で飼い主が3匹の保護を依頼。次の日も別の相談があり、3匹を引き取ることになっていた。

動物愛護センター
動物愛護センター

動物愛護センターによると、2024年4月~11月末までで236匹を譲渡。2023年の12月までと比べ、すでに1.5倍を譲渡しているという。

そして、現在も33匹の子ネコが保護されている。

保護急増の要因は“多頭飼育崩壊”

保護ネコが急増した理由について、笹川さんは「多頭飼育。自身で世話しているネコがすごいスピードで増えてしまって、とても世話が追いつかないという状況に陥ってしまったような話とか、そういった事案の情報が入ってくることが非常に多くなった」と話す。

ネコは年に2、3回出産し、1回で5、6匹産むと言われていて、気づいたときには自分で世話ができなくなるほどに増えていたという多頭飼育崩壊のケースが子ネコの保護急増の要因になっているとみられている。

笹川さんは「自分の抱えられるネコには限界があると思うので、適正な不妊・去勢手術をしていただければ」と指摘する。

クラウドファンディングで“不妊・去勢専門病院”開院

こうした状況の中、ネコの不妊・去勢手術を進めるため、動物愛護団体が主体となり、民間の動物病院の獣医や行政、ボランティア団体などが、子ネコの去勢手術を行う専門病院「にゃんがたセンタークリニック」のクラウドファンディングを実施。

にゃんがたセンタークリニック
にゃんがたセンタークリニック

このクラウドファンディングで800万円を目標金額としていたところ、1402人からの支援で2200万円以上が集まった。

この資金を活用し、新潟市の施設を貸し出して週に一日、去勢手術を安く行っている。

対象としているのは、新潟県内の飼い主のいないネコ、または飼い主がいても貧困等やむを得ない事情により、不妊・去勢手術を受けさせることができずに多頭飼育崩壊に陥った、またはその恐れがあると行政機関が認知した案件だ。

にゃんがたセンタークリニックは10月1日にオープンしたが、12月11日現在でオス80匹、メス96匹の計176匹の手術を行った。

動物愛護センターは、「ネコを家族の一員として迎え入れたい人は愛護センターに来て引き取ってほしい」と呼びかけているほか、野良ネコがかわいいからと餌を与えている人には「他人に迷惑をかけないよう、自分の管理できる範囲で配慮しながらかわいがってほしい」と話している。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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