大学とホテルが連携し、学生の自由な発想をもとに企画した“期間限定ランチ”が人気を集めている。ビジネスを専攻する学生がプロデュースしたのは、「南国リゾートで過ごすような特別なひととき」だ。
学生とホテルが連携した実践的な学び
広島市中区にある、「オリエンタルホテル広島」。ここで行われているのは、とあるユニークな企画だ。

その名も、「レアレア・ハワイアンランチ&デザートブッフェ」。この取り組みはランチのテーマを設定することからメニューの考案や集客まで、レストラン経営を実践的に学ぼうというテーマで、安田女子大学国際観光ビジネス学科のゼミとホテルが共同企画したものだ。接客にあたるのは、もちろん学生だ。

来店客:
全部おいしい。
学生:
私たちがデザートも全て企画したんです!
来店客:
そうなの?
メニューを作り上げるために考えることは盛りだくさん
8月のキックオフミーティング。

学生たちは5か月間のハワイへの貴重な留学経験をもとに、ハワイを代表するメニューを提案した。

学生たちは「ハワイの有名な料理で、“ポケ丼”というものがあり、サーモンとかマグロとかをのせたものです。あとガーリックシュリンプとロコモコ丼と、エッグベネディクトを考えてて…」と考えてきたメニューを紹介した。

すると、ホテルの総料理長は 「バランス的にはいいと思いますけど、エッグベネディクトはちょっとメインとしては…」と、実現可能な範囲を見極める。お客さんに喜んでもらうためであっても、自分たちがやりたいことが全てできるわけではないのだ。原価や人件費、価格設定など、考えることはたくさんある。
試作品が完成!さらに率直な意見交換が
10月のある日、学生の意見をもとに、ホテルが試作した料理の試食会が行われた。

学生:
どうやって食べたらいいのかが分かんなくて…
総料理長:
そのままずばーっと落としてもらって、香草サラダと一緒にがぶっと…もう一回り小さくしますか?一口で食べるサイズに落としましょうか?
学生:
そのほうが、女性が多いとか考えるんだったら、食べやすいかなと思います。
味付けや盛り付けについて率直な意見交換が続いた。

オリエンタルホテル広島・引原史博総支配人は「僕らはこうやって2、3ヵ月先のメニューをずっと考えています。だから今のことを考えるんじゃなくて、この人たちが、この時期に食べる時にどう思うかなっていうことを感じながらやっていってほしい」と学生たちにアドバイスした。
ようやくメニューが完成!学生たちはフロアスタッフに
様々な工夫を凝らし、ようやく完成した料理をサーブしながら、学生たちは積極的にお客さんに話しかけ、生の声を聞くように努める。

学生:
お味どうでしたか?
来店客:
美味しかったです。
学生:
「何が美味しかったですか?」
来店客:
お肉!

この取り組みについて、実際にメニューを考案した学生たちに聞いてみた。
安田女子大学 国際観光ビジネス学科の柳原葵さんは「お客様目線で考えることの大切さや経営側から考える大変さや責任の重さをとても感じました」と答えた。
橋本彩乃さんは「お客様だけではなくて、オリエンタルホテルさんにも“安田女子大とコラボ”したことが良かったなと思っていただけるような活動を、今後も続けていきたいなと思っております」と答えた。
ホテルで実際にメニューを出し、サーブするという貴重な体験は、学生たちに大いに学びをもたらしたようだ。

「お越しをお待ちしております!」
料理のプロは、学生の斬新な、若年層としての視点を取り入れ、新しい発想が浮かぶ。そして、学生たちも普段なかなか入ることができない環境に身を置いて学習できる。ホテル側も、大学側も、お互いに“ウィン・ウィン”の関係で、共に作る素晴らしい研修になっているようだ。
(テレビ新広島)