「年収の壁」見直しの議論が大詰めを迎える中、この週末に大きな動きがあった。それが、“マリー・アントワネット発言”だ。自民党の小野寺政調会長が講演で、「根本、おかしい」「なぜ学生が103万円まで働かないといけないのか」と述べ、これに対し国民民主党の玉木氏が「まるでマリー・アントワネットみたいな感覚ですね」と猛反発した。
「学生が103万円まで働くのはおかしい」のか。
自民公明の「123万円」案…国民民主が反発
11日、自民、公明、国民民主の幹事長は年収103万円の壁について、178万円を目指して2025年から引き上げることで合意した。

ところが、わずか2日後の13日、別の会合で自民・公明の与党側が、20万円だけ引き上げる「123万円」とする案を提示。当然、国民民主は反発した。自民党の宮沢洋一税調会長は、「私たちとしてもかなり誠意を見せたつもりだけど、(国民民主党から)この案は(ゴルフの)グリーンの近くにもきていないと。パッティングで調整するようなレベルに全くなっていないという話だった」と述べた。

そうした中、15日、自民党の小野寺政調会長から飛び出したのが、「野党各党は壁を取っ払えとかいうが、根本おかしいなと思う。なんで学生が103万円まで働かないといけないのか」という発言だ。その上で、小野寺氏は「学生に十分に学業に専念できるような支援をすることを、本来は国会でやるべきではないか」と述べた。

この発言について、現役の大学生や親世代はどう感じているのか。
月4~5万円の収入・大学1年生:
絶対鶏肉しか買わない、牛・豚は贅沢すぎる感覚。牛肉食べたいなと思う時はありますね。稼いだ分、学費を払っている人もいるので、学費に充てると考えると(123万円は)もはや少ないと思ったりしますね。
月8万円の収入・大学2年生:
時給が年々上がっているので、その分178万円まで上げてもらった方が助かる。123万円だと中途半端かなと。
娘が大学生・40代:
大学生は勉強するのが本分で、仕事するのは違うと思う。本来、親が出すべきものを学生が負担している。だから親の世代の収入を増やす政策をしないといけない。
60代:
間違ってはいないと思うが、それが本当に正しいかと言われたら、働いている子たちにしてみたら「今俺は欲しいんだよ。生活するお金が」って。でも勉強もしたいという子たちにとっては先の話、法案通すなんていつの話よって。
青井実キャスター:
街のみなさんの声と小野寺議員の発言、どう思いますか?
SPキャスター パトリック・ハーランさん:
辛い学生さんをもっと支援しなきゃいけないという趣旨で語ってるなら、これはマリー・アントワネット的な発言ではないと思います。でも、だからと言って、壁を解消とか引き上げることに反対するわけにもいかないと思うんですね。
「学生や親が置かれている厳しい現状を知るべき」
国民民主党の玉木氏は、すかさずX(旧ツイッター)で「マリー・アントワネットみたいな感覚」と投稿。本人を直撃し、投稿の真意を聞いた。

国民民主党・玉木雄一郎氏:
与党の政調会長から、そういう発言が出るのは極めて残念ですね。学生が学業を本分にすることはその通りです。ただそれができない現状があるから、どうしようと一生懸命考えている。
小野寺議員の発言を「マリー・アントワネット」と表現したことについては…。
国民民主党・玉木雄一郎氏:
史実とは必ずしも違うと最近言われているが、マリー・アントワネットは、フランス革命の前に「庶民の気持ちが分からない」という象徴的な発言をした。庶民の気持ちが分かっていないということで、マリー・アントワネットの逸話を少し紹介した。
自民党も政府与党も、今の学生や親が置かれている厳しい状況に対してもっと目を向けるべきだと思うし、現状を知るべきだと思う。

16日になって小野寺政調会長は、「授業料への支援や奨学金の拡充をすることで、学業に専念できる環境を国で議論することも大事ではという意図であのような話をした。先ほど国民民主党にもその時の発言、明確に意図について説明した」と釈明。国民民主党も、この説明を受け入れたという。一方で、引き上げ額が自民党の提示した「123万円」に留まる場合、「協議の打ち切りも含めて考えなければいけない」とけん制した。
壁見直しはどう決着するのか、最後まで目が離せない。
(「イット!」12月16日放送より)