今年30周年を迎えたベガルタ仙台のレジェンド、梁勇基（リャン・ヨンギ）さん。引退試合に臨む前にその心境を語ってくれた。
ベガルタ仙台のレジェンド
梁勇基さんは2004年、ベガルタ仙台に入団。計18シーズン（2004~19、22～23）プレーし、2008年からはキャプテンも務めた。2012年にはクラブ史上最高のJ1、2位にチームを導き、東日本大震災で大きな被害を受けた仙台市をはじめ被災地に大きな希望を与えてくれた。2020年にサガン鳥栖に移籍後、2022年に再びベガルタ仙台へと戻り、去年、現役引退を発表。現在はベガルタ仙台のクラブコーディネーターとして活躍している。
梁さんが選ぶ今季のMVP
今シーズンのベガルタ仙台は森山佳郎監督の下、J1昇格を目指して昇格プレーオフ決勝まで勝ち上がったが、惜しくもJ1復帰を逃した。チームの戦いぶりを梁さんはどう見ていたのだろうか？
――今シーズンのベガルタ仙台の戦いぶりは？
あと1本、J1には届かなかったが、森山監督が掲げる全員がハードワークするというスタイルをシーズン通して見せてもらった。
――チームのMVPは？
郷家友太選手。明らかに昨シーズンとは表情が変わったという印象を受けた。全試合に出ていると思うが、本当に全試合でチームを引っ張っている。献身的な守備から攻撃に至るまで、攻守において本当に強い選手の１人だと思う。
――キャプテンの重責もあった。キャプテン経験のある梁さんから見てどうか？
明らかにこのチームを引っ張っていくんだという覚悟が見えた。非常に頼もしかった。
来季の昇格に必要なこと
来シーズンに向けて、ベガルタ仙台は郷家選手をはじめ中心選手の契約更新を次々と発表している。MF郷家選手をはじめGK林彰洋選手、MF工藤蒼生選手が来シーズンもチームでプレーすることが決まった。J1昇格を目前で逃す悔しさを味わって迎える新シーズン。
梁選手がキャプテンとして率いたベガルタ仙台は2008年にJ1入れ替え戦で敗れたが、翌年にJ2優勝、J1昇格を果たした。
――中心選手が残る意味合いは？
今シーズン1年間通して戦った選手が残るのはチームにとって大きい。何よりプレーオフ決勝で岡山戦に敗れてあと一歩届かなかったという経験をした選手がたくさん残るのはチームにとって非常にプラスだと思う。岡山戦をパワーに変えて来シーズンは戦ってほしい。
クラブ史上初の引退試合
梁さんは12月14日、ユアスタで自身の引退試合を迎える。設立30周年を迎えるクラブの歴史の中で、引退試合を行うのは初めて。梁さんも「本当に感謝の気持ちでいっぱい。本当にいろんな方々のサポートがあっての引退試合なので、盛り上がって楽しい1日になればいいと思っている」と話す。当日は梁さんと黄金時代を築いたベガルタ仙台レジェンズと梁さんと親交の深い選手が集結した梁勇基フレンズに分かれて対戦する。
――一緒にサッカーをするのが楽しみな人は？
これだけの選手が来てくれるので、本当にみんなとするのが楽しみだが、特に遠いブラジルから来てもらうウイルソン選手とボールをけるのはすごく楽しみ。会うのも久しぶりで、ちょうど先ほど東京駅に着いたという連絡ももらった。
――お互いに変化を感じる？
少しふっくらしたかなというところがあったが、それでも彼らしいプレーを見せてくれると思う。
戦友からのメッセージ
メンバーの中には岡山一成さん（2007～08）もいる。現役時代は勝利の時に行うユアスタを巻き込んだダンスが「岡山劇場」と呼ばれて愛された。梁さんも「ホームで勝った後にサポーターと選手が一体となって喜ぶという時間を設けたことで、選手とサポーターが一緒に戦いやすくなる、そういうきっかけを与えてくれた」とチームにもたらした効果を評価している。引退試合を前に、岡山さんからはビデオメッセージが届いた。
岡山一成さん：
梁に引退試合行くぞって言ったら、絶対俺より目立たないでくださいよって言われた。梁のプレースキックからヘディングゴールをとります！梁にアシストがつくので。ほんじゃな！楽しみにしとるで
笑顔でメッセージを聞いた梁さん。「やっぱり前に前に出てくる方なので、試合では気持ちよくお膳立てできるように頑張りたいと思う」と一緒にプレーすることを楽しみにしていた。
サポーターに見せたいプレー
14日の引退試合が梁さんにとって、プレーヤーとしてユアスタのピッチに立つ最後の姿となる。
――サポーターにどんなプレーを見せたいか？
現役時代、最後にユアスタでゴールを決めたのが2019年だと記憶しているので、久しぶりにユアスタでゴールを決めたいなと思う。できれば流れの中から1点。あとはセットプレーからとれたら最高。
梁勇基さんの引退試合は12月14日午後2時にキックオフの予定。最後にどんな姿を見せてくれるだろうか。
