愛知県一宮市の「ほていや」は1973年に創業した昔ながらのラーメン店です。「デートでも訪れた」という夫婦や、10年以上通っているという女子高校生に、3世代にわたって通っているという親子など、地域にとって欠かせないお店になっています。
店主で2代目の女性は「味が『変わらないよ』と言われるのが一番幸せ」と話し、父の代から続く味を守り続けています。
■地域で世代を超えて愛される…50年続く屋台発祥のラーメン店「ほていや」
愛知県一宮市で長年愛されてきたラーメン店「ほていや」は、屋台発祥で、昔ながらの中華そばが味わえると、地元の人たちが世代を超えて訪れます。

お店の外はコンテナ風、中はまるで屋台のような佇まいです。

創業は1973年(昭和48年)、お客さんが注文しているのはチャーシューが豪快に盛られた、昔ながらの「中華そば」です。

店主の遠藤静江さん(63)は、父親から店を受け継いで20年以上、変わらぬ味が世代を超えて愛されてきました。

男性客A:
最初に来たのは覚えていなくて、たぶん保育園とか。親に連れられて。なんて言うんですかね、思い出の味ですね、やっぱり。
男性客B:
父親に連れてきてもらって、今度は自分の息子を連れて来て、今は息子が孫を連れてきて、4世代。
■味の決め手は「醤油ダレ」…自慢のチャーシューの虜になる客も
店自慢のチャーシューは、主に週末の土曜に仕込みます。

ほていやの店主 遠藤静江さん:
土曜日はチャーシューブロックを売るようにしている。やっぱり作りたては食べたらおいしいので。
長い付き合いという精肉店から仕入れていますが、毎回肉を店内へ運びこみ、ずんどうに入れるまでしてくれるといいます。信頼関係の証です。
ミートショップまつながの松永強さん:
(付き合いは)長いですね。僕の父さんが最初持ってきていて、父さん亡くなって、そこからまた僕が持ってくるようになって。

味の決め手となる「秘伝の醤油ダレ」は、創業時から50年以上、ずっと継ぎ足して使ってきた「店の宝」です。

そこに、遠藤さんが「魔法の調味料」という臭みをとる香辛料が入ります。

そして強火で5時間以上じっくり煮込み、その後3日間ほどかけて寝かせると、秘伝の醤油ダレのおいしさが、肉のすみずみまでいきわたります。

ほていやの店主 遠藤静江さん:
パンチは多分あると思います。まるっと醤油に漬けこんで煮ているので。醤油辛いチャーシューです。
自慢の「チャーシュー」。この味のとりこになっている常連客も多いといいます。
■あっさりした味わいの中に深いコク…ほていやの名物「チャーシューメン」
チャーシューの旨みがしみ出たこの「醤油ダレ」にも、秘密がありました。
この「醤油ダレ」に父から受け継いだ特製の出汁を合わせてラーメンのスープにします。麺は昔ながらの中太ストレート麺です。

仕上げに自慢のチャーシューをたっぷりとトッピングして完成。あっさりした味わいの中に感じる深いコクの「チャーシューメン(1400円)」は、「ほていや」で半世紀以上、地域で愛されてきた名物です。

「ほていや」は、1973年(昭和48年)に遠藤さんの父、庸介さんが屋台からはじめました。庸介さんが2011年(平成23年)に他界すると、長女の遠藤さんが、迷わず2代目として後を継ぎました。

それ以来必死に守ってきた味のバトン。そして味以外で、父親から受け継いだのが、「屋台」です。

店の設えは、父親の屋台をそのままに。変わらぬ味と変わらぬ雰囲気で、常連客を迎え入れます。
■親子も夫婦も子供も従業員も…世代を超えてほていやを愛する地域の人
午前11時半に開店すると、お客さんがやってきました。
夫婦で来店した夫:
50年前から(来ている)。この近くを通ると「きょうやってるのかな」ってそういうのを気にする。

男性の妻:
(夫と)付き合っている時から(来ている)。
Qここでデートもしましたか
はい。
Q何と言って連れて来られましたか
「ラーメン食べよ」って。

夫婦で来店した夫:
ずっと続けてほしい。
男性客C:
月に2、3回は来るな。昔からの中華そばを食べるならここ。あといまうちがハマっているのがチャーシュー。ブロック売りのチャーシューもあるのでそういうのも狙って。
男性は自宅でも、テイクアウトしたチャーシューを炒めてチャーハンにしたりして、ほていやの味を楽しんでいるといいます。

高校3年の女の子:
17歳です。高校3年生です。小学生の時から通っているので、10年以上は通っています。

ほていやの店主 遠藤静江さん:
可愛い、娘みたいなものです、似てないですけど。お父さんと2人で来ることもあるし、お母さんと2人で来ることもあるし、こうやって1人で来てくれることもある。

マイどんぶりを持参して、テイクアウトする常連客もいます。
女性客:
何年前かわからないけど、ここができてから来ています。
ほていやの店主 遠藤静江さん:
きのうラーメンだったでしょ。
女性客:
そうそう。毎日来ているね、なんだか。きのうラーメンだったからきょうはチャーシュー丼。なくてはならないありがたいお店。

地元の人たちにとって欠かせない「愛されラーメン店」ですが、お店を一緒に切り盛りしている従業員の女性も、元はお客さんでした。
従業員の女性:
ばぁちゃんでしょ、お母ちゃんでしょ、わたしでしょ、子供でしょ、いま孫も産まれて。(客で来ていて)ナンパされました(笑)

Q声をかけられた時は
ラーメン毎日食べられるって(笑)
■大切にしていることは「味を守る」…愛されラーメン店を続ける店主の想い
夕方、午後6時、6歳の男の子を連れた親子が晩ご飯で訪れました。

母親:
1歳からここで食べています。いつも大盛です。
お母さん自身も、小さい頃から父親に連れられて、ほていやに来ていたといいます。

母親:
週末にお父さんが仕事終わってから、「ほていやに行く」って言われて「やったー」って感じでついていく感じだった。いまは逆になっているので。私が仕事終わってから、「行くよ」って言ったら(子供が)「やったー」って感じで。
ほていやの店主 遠藤静江さん:
いつもお持ち帰りも買って。彼は次の日の朝もラーメンがいい。
母親:
(息子は)朝からここのラーメンを食べています。
6歳の息子さんは翌朝の朝食も、ほていやのラーメンを満喫していました。

地元の人たちが世代を超えて愛する場所、ほていやのラーメンは、そんな「ふるさとの味」です。

ほていやの店主 遠藤静江さん:
一番大切にしていることは味を守ること。変わったらたぶんお客さん来てくれないと思うので。この味が食べたいから頑張ってねって、その声だけでやっていけますね。せっかくやりだしたことだから、体がもつ限り、あと何年もつかわからないですけど頑張っていきたいと思います。
2024年11月13日放送
(東海テレビ)