大手医療脱毛「アリシアクリニック」を経営する2社が10日、破産開始決定を受けたことが分かった。
「アリシア」は全国40店以上、9万人超の債権者を抱えている。
未施術分返金は「極めて難しい」との告知に、利用者は困惑している。
負債総額は124億円以上…「気配すらなかった」と驚きの声
大手脱毛クリニック「アリシアクリニック」の突然の倒産で、多くの利用者が困惑する事態となっている。

10日午後3時過ぎ、東京・吉祥寺のアリシアクリニック吉祥寺店の入り口前には、告示書の内容を確認する人の姿も見られた。
シャッターの閉じたクリニックに張られた1枚の張り紙の周りには多くの人が集まり、食い入るように見つめている。
そこには、クリニックの「破産」の文言があった。
渋谷・新宿など首都圏を中心に、全国に40店舗以上を展開していた医療脱毛大手「アリシアクリニック」は、10日、経営会社2社が東京地裁に破産を申請し、破産開始決定を受けたことが分かった。

突然発表された驚きの知らせを受け、複数の利用者が直接店舗に駆けつけた。
アリシアクリニック利用者は、「びっくりです。知らなかった…。(倒産の)気配すらなかった。全身の脱毛だったので30万円…」とつぶやいた。
隣の利用者も、「わたしは40万円…。友達にもすすめちゃって…」と話す。
ほかの利用者は「全部で30〜40万円分です。さっき倒産したと見て、お金返してほしい…」と語った。
すでに利用者たちは、多額の料金を支払い済みだという。
しかし、ウェブサイトには「未施術分の返金は極めて難しい」との記載があった。

アリシアクリニックは、新型コロナの感染拡大などの影響で、利用客が減少し経営が悪化したという。
負債総額は124億円以上、債権者は9万人以上とみられている。
中には残り9回、約15万円分の施術が残ったままの利用者もいた。
都内の店舗で契約をした20代の男子学生は、11日が脱毛の予約日だったという。
都内の店舗で契約した利用者は「明日12月11日に(脱毛施術を)受ける予定でした。『えっ!』ていう戸惑いと、やるせない気持ち」と思いを語った。
約1500名の全従業員を解雇
ホームページには、「信頼のクリニック」と安心感をアピールする文言も書かれていた。

近年では、「銀座カラー」や「シースリー」など大手の脱毛サロンが相次いで倒産している。
脱毛業界で、大手企業の倒産が相次いでいる理由について、日本脱毛安全普及協会・山岸純代表理事は、「広告費をかけすぎというのが一番の問題。結局広告の価格が上がっていて業界全体で共倒れする」と説明した。

全店舗は12月10日付で営業を停止し、約1500名の全従業員を解雇した。
今後の対応は、問い合わせフォームを通じて行っていくとしている。
(「イット!」12月10日放送より)