熊本城の創建当時から姿をとどめる城内唯一の五階櫓の『宇土櫓』は、復旧に向けて建物の解体が行われている。本格的な工事開始から1年。柱や梁といった軸組部分の解体が12月5日に始まった。
2023年12月から始まった約100年ぶりの全解体
国指定重要文化財の宇土櫓は、2016年の熊本地震で柱や床が傾くなどの被害が出たため、復旧に向けて建物を解体する工事が2023年12月から行われている。
この記事の画像(8枚)復旧のため建物全てが解体されるのは、昭和2年以来約100年ぶり。建物が軸組だけの貴重な姿になったことで、過去の修理の痕跡や地震の被害を外から見ることができるようになった。
宇土櫓約100年ぶりとなる全解体に向けて、軸組部分の解体が12月5日に始まり、5階部分の『小屋組み』と呼ばれる棟木や母屋といった部材が取り外され、大工がクレーンを使って慎重に所定の位置に下ろしていった。
部材は再び使えるかどうかが判断され、使えるものについては再建の時を待つ。
熊本城総合事務所・復旧整備課の渡辺広樹副課長は「部材を一つ一つ解体しながら修理の痕跡や被害の状況を調査して、次の復旧に向けて設計を行っていく」と話した。
宇土櫓の解体は2025年いっぱいで終わり、復旧完了は2032年度の予定だ。
旧細川刑部邸の被害状況も熊本地震後初公開
5日はまた熊本地震で被災した旧細川刑部邸の被害の状況が地震後初めて報道陣に公開された。
旧細川刑部邸は12の建物全てに柱の傾きや壁の崩落などの被害が生じ、復旧に向けての本格的な解体工事が間もなく始まる。
復旧工事の完了は2028年2月の予定だ。
(テレビ熊本)