母親が一部の職員のみに身元を明かして出産する『内密出産』について、熊本市の慈恵病院は運用開始から11月28日までの約3年間で38人が出産したと発表した。蓮田健理事長は内密出産で生まれた赤ちゃんのその後の養育環境の整備についても、取り組んでいきたいと話した。

2024年は17人が『内密出産』

慈恵病院は2024年1月から11月28日までに、母親が一部の職員のみに身元を明かして出産する『内密出産』で17人が出産したと発表した。

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これで2021年12月の運用開始以降、約3年間の累計は38例になった。38例のうち出産後に匿名を撤回したのが14例、内密出産を維持しているのは24例だということだ。

匿名を撤回した14例のうち、実の親が養育を希望しているのが8例、特別養子縁組を希望しているのが6例だ。

慈恵病院の蓮田真琴新生児相談室長は「簡単に考えて、慈恵病院で生ませてもらっているのではという意見もあるが、誰1人としてそんな人はいなくて、内密出産を選ぶ理由として子どもを守るためというところもありますので、私は24人の命と幸せを守ったと思っている」と話した。

一方、この1年の間に生まれた後に、赤ちゃんが死亡した例があったと明らかにされた。死因は肺炎だったということだ。

「早期に特別養子縁組の手配が理想」

また、蓮田健理事長は生まれた赤ちゃんの処遇について改めて「他の赤ちゃんと同じように家庭的な環境にうつされて、早期に特別養子縁組の手配をする流れが理想だと思う」と述べた。

今後、早期に家庭での養育にうつす、福岡や愛知の仕組みを参考にするなどし、内密出産で生まれた赤ちゃんのその後の養育環境の整備についても、取り組んでいきたいとしている。

(テレビ熊本)

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