国内で初めて、グーグル認定の中古スマホが販売され、厳しい品質基準をクリアした端末が新品より安価に提供される。
専門家は、需要拡大のカギは個人・中小企業・外国人観光客にあり、認定再生品がサステナビリティーと市場拡大の両立を実現すると指摘している。
国内初“グーグル認定”中古スマホ販売開始
国内で初めて、グーグルが認定した中古スマホが販売された。
この記事の画像(11枚)グーグルが認定する中古スマホを販売するのは、中古スマホ端末のオンライン販売を行うBelong(ビロング)だ。
厳格な品質検査をクリアした端末が、新品に比べ、約2割から3割安く購入できる。
円安や物価高で新機種の価格が上がる中、割安で高品質な認定品の需要を取り込みたい考えだ。
また、中古品市場の活性化で、廃棄削減や資源の有効活用も期待できるとしている。
Belong・井上大輔社長:
中古スマートフォン市場は、2023年度に約270万台と過去最高の流通量になっておりまして、今後も年間10%以上の成長で伸びていくといわれております。われわれとしても、その市場を拡大する一翼を担っていければと考えています。
まずは中古スマホの販売サイトから始め、今後、店舗などの売り場でも展開していきたいとしている。
中古市場拡大は3つのターゲット層に注目
「Live News α」では、一橋ビジネススクール教授の鈴木智子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ーーグーグル認定の中古スマホ販売、どうご覧になりますか?
一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
近年、中古スマホ市場は2桁成長を続けています。現在では、国内で販売されている端末の約10台に1台が中古品です。
中古スマホ市場で堅調な拡大が見込まれる背景には、3つの大きなターゲット顧客の存在があるためです。
堤キャスター:
ーー具体的には、誰が購入しているのでしょうか?
一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
1つ目は、価格にひかれた個人客です。スマートフォンの価格は、新製品だと10万円を超えるなど高騰しています。多くの消費者は、スマートフォンにそれほどお金をかけられなくなっています。
そして2つ目には、中小企業の法人利用があります。コスト削減を迫られている中、社員に提供するスマートフォンを中古に切り替える企業が増えています。
堤キャスター:
ーーあと1つの顧客については、いかがですか?
一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
3つ目が、外国人観光客です。中古品であっても、日本のものは大切に使われることが多く、クオリティーが高いという信頼があります。それはスマホについてもそうなんです。
すでに一部の海外インフルエンサーが、日本の中古スマホショップを賞賛している動画をネットに投稿しています。外国人観光客の中古スマホに対する需要は高まる可能性が高いです。
サステナブルな市場活性化を推進
堤キャスター:
ーー中古品の販売が盛んになると、ブランドにとってマイナスにならないのでしょうか?
一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
グーグルは企業目標として、「地球にも、人にも優しいプロダクト構築」を掲げています。認定再生品を販売することは、電子廃棄物の削減にも貢献し、サステナビリティーの目標を実現することにもつながります。
これまでは、ブランドの価値を維持するためには、新製品の発売が重要だと考えられてきました。加えて今は、長期的なサステナビリティーへの取り組みの一環として、中古の認定再生品の発売という新たな流れが生まれています。
堤キャスター:
資源を有効活用する上で、こうした中古品の活用は大切なことです。
とはいえ、安いお買い物ではありませんし、一度は人の手に渡ったものですから、購入後のサポート面などがカギになるのかもしれません。
(「Live News α」11月26日放送分より)