ローソンが、来店でスマホのデータ容量を獲得できるサービスの提供を開始した。
KDDIの「povo」ユーザーは、来店ごとに0.1GB(ギガバイト)を受け取ることができる。
専門家は、「日常行動を変える強力な戦略」と評価し、新たなマーケティングの可能性を示唆した。
ローソンが来店で“ギガ”獲得の新サービス
ローソンに来店すると、スマホのデータ容量を獲得できる新しいサービスがスタートした。

このサービスは、KDDIがオンライン専用ブランド「povo」のユーザー向けに始めたもので、ローソンに1回来店すると0.1GBのデータ容量が無料でもらえ、月に最大10回まで利用できる。

フジテレビ経済部・山下あす奈記者:
店内で特設サイトにアクセスして、こちらのチャージボタンを押すと0.1GBを無料でもらうことができます。

また、「からあげクン」などの対象商品の購入で、0.3GBを無料で追加できるサービスも展開する。

KDDIは、2024年9月から三菱商事とローソンの共同経営を行っていて、回線利用者の来店を促して、店舗で“ついで買い”をしてもらうことで、相乗効果を狙う。
“ギガ”をもらえるコンビニを選ぶ新たな消費行動
「Live News α」では、オルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ーーデジタルを活用した企業戦略にくわしい石倉さんは、今回の試みをどうご覧になりますか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
来店で“ギガ”がもらえるというのは、面白い着眼点だなと思います。今、動画を視聴する人も非常に増えているし、スマホの容量制限に引っかかってしまう人は多いのではないでしょうか。
それで、速度制限解除を繰り返して、いつのまにかスマホ代がどんどん高くなってしまう、そういった人も少なくないのでは。
堤キャスター:
ーー“ギガ”が減ってしまい、読み込み速度が遅くなってしまった、という経験がある方もかなり多いかもしれませんね?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
私も、なんだかんだ毎月何回も容量を増やすために追加で課金したりしているのですが、それくらいスマホの容量がいっぱいになり、速度制限がかかることに対して、ストレスを感じると思います。
だからこそ、スマホの“ギガ”というのは、現代人、特に若い人にとっては、必須なものといえるのではないでしょうか。
堤キャスター:
ーーコンビニへの来店を促す取り組みとしては、これまでにないアプローチですよね?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
“ギガ”が足りなくなったら、課金するのではなく、コンビニに行くだけでもらえるということを「ラッキー」と思う人はいるのではないかと思います。
しかもコンビニは、毎日行く人も多いでしょうから、せっかく行くならギガがもらえるコンビニを選ぶという選択をしてもおかしくないと思います。
必須サービスの融合で日常行動を変える強力な施策
堤キャスター:
ーー今回の取り組み、ローソンだけでなく、KDDIにもメリットがありそうですね。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
2024年9月からローソンは、KDDIと三菱商事による共同経営になっていますが、今回の取り組みは、ローソン、KDDIともにメリットがあるように思います。
スマホもコンビニも必須のサービスになっていますが、同時に競合と差別化しにくい、“レッドオーシャン”でもあるんですよね。
毎日使うもの同士の組み合わせというのは、日常の行動を変える力があるので、非常に強力だと思います。こういった、人の欲求をうまく満たせる行動デザインをした施策を、うまく打ち出せるかというのは、これからのマーケティングには必須になってくるかもしれないなと思います。
堤キャスター:
行くと、つい何かを買ってしまいがちなコンビニで、こうしたユニークな試みがどんな効果を生み出すのか、非常に興味深いです。
(「Live News α」11月19日放送分より)