本島北部の各地に爪痕を残した大雨はいまだ被害の全容が見えない中、畜産業への影響も明らかになってきた。大宜味村では養鶏場の鶏が2万6千羽死んだことが分かった。
また、残った鶏の生育にも影響が出ていて関係者は肩を落とす。
出荷目前だったのに
大宜味村津波にある養鶏場「平南ファーム」は、11月9日の大雨で鶏舎が水に浸った。

平南ファーム 石川亘 常務:
おそらくこの辺まで水が来ていたと思います。ショックでしたよ。見に来たら床上浸水で鶏がほぼ死んでいる
29ある鶏舎で鶏を育てているが、そのうちの4つが浸水し、約2万6千羽が溺れて死んだ。
鶏はケンタッキーフライドチキンやJAに出荷する直前だった。
台風で鶏舎が壊れた事はあるが浸水被害は初めてで、大雨の片付けよりも先に死んだ鶏の処分に追われたと話す。

平南ファーム 石川亘 常務:
このまま放置したら腐敗が進んで病気になる可能性があるのでまず迅速に処分、処理しないといけない。そっちのほうに頭が切り替わってそういう作業をやっていました
また、被害をより深刻にしているのが水の問題。
鶏舎に水をくみ上げている平南川のポンプが大雨による土砂崩れで埋まり、復旧の目途が全く立っていない。

現在、ファームでは鶏たちの飲み水と鶏舎を掃除する水を確保するため、一日に8回16往復して 水を運んでいる。
今後の出荷にも影響するおそれ
平南ファーム 石川亘 常務:
土砂で全部潰されたので修理ができない、新しく設置しないといけない。いつ終わるかは今のところわからない

残った鶏も体重が増えないなど影響が出ていて、今後の出荷にも影響が出るおそれがある。
平南ファーム 石川亘 常務:
一時期水が飲めない時期があったので、水を飲まないと消化しきれないので餌を食べなくなるんですね。この影響はこれから出るでしょう

平南ファームによると、現時点で被害額は約500万円に上り、行政の支援もまだ受けられていない。
平南ファーム 石川亘 常務:
起こってしまったことはしょうがない。あとは残っている鶏をいかに大事に大きく育てるか、それしかないです

畜産業界にも広がる大雨の被害。県は必要な支援をするため被害の全容把握を急いでいる。
(沖縄テレビ)