冷たい水が無料で…小中学校に自販機を設置
厳しい暑さが続く中、マスクを着けたままの生活を送らなくてはならない、今年の夏。
新型コロナの感染予防と熱中症予防のバランスが難しいところだが、ある調査では多くの人が一日に必要な水分量を摂取できておらず、水不足となってしまっている…という結果も出ている。
(関連記事:約9割が“水分不足”になっている? マスクの夏だからこそ知っておきたい「正しい水の飲み方」)
そんな中、茨城県・つくばみらい市が8月24日から、市内の全公立小中学校となる14校に冷水の自動販売機を設置し、児童生徒に無料配布を始めた。
この記事の画像(3枚)自動販売機は各学校の規模に合わせて1校につき1~3台、14校で20台が設置された。お金を入れなくてもボタンが押せる仕組みになっており、1台あたり1日520本程度のミネラルウォーターが無料で配布される。
これにはSNSで「子どもたちに向き合ってくれる素晴らしい取り組み」「羨ましい!ぜひ全国に広まってほしい」との声が続々。
熱中症対策には、こまめな水分補給が有効とされる。この取り組みを通して、子どもたちに水分補給の習慣がつくことはとても好ましいが…。マスク生活が続く“異例の夏”を迎え、児童や保護者からミネラルウォーターの配布を希望する声が寄せられていたのだろうか。
つくばみらい市の教育委員会にお話を聞いた。
衛生面から自販機の設置に
――自動販売機を導入したきっかけは?
暑い時期には、持参した水筒を飲み干してしまい、水道水を水筒に入れて飲んでいる子供たちがいるという話を聞き、冷たい水を配布することを検討していました。
本市の小中学校には、冷水機等が整備されていないため、夏休みの短い期間で設置できるもの、また、先生方に負担をかけない方法として、自動販売機の設置に至りました。
つくばみらい市によると、各学校では熱中症予防のため「休み時間に水分補給をするように」と指導し、多くの児童が水筒を持参している。この暑さですぐに水筒の中身を飲み干してしまう児童がいたものの、特に保護者らから、ミネラルウォーターの配布を希望する声があったというわけではないという。
またSNSには「ペットボトルでの配布や、冷水機を設置すれば良いのでは?」との声もあったが、注目したのは衛生面。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、手洗いやうがいの徹底・共有スペースの消毒などが徹底される中、自動販売機は多くの児童が水道の蛇口や冷水機を使うことでの感染リスクや、水を飲むために集まって“密”になることを防ぐ狙いがあるとのことだ。
また、ペットボトルでの配布は保管のための大型の冷蔵庫など、新たな設備が必要となる。そのような負担を避ける意味でも、自動販売機の導入が決まったのだという。
自動販売機の導入後も「水道の水を飲んだり、水筒に詰め替えること自体は禁止していない」そうだが、リスクの回避に役立つのは間違いないだろう。
子どもたちからは「冷たい水嬉しい」の声
――子どもたちの反応は?
「冷たい水を飲めることに大変喜んでいる」と学校側から報告がありました。また、家に帰ってから家族に自動販売機の話を楽しそうに話しているというお話も聞いております。
――今後も続けていく予定はある?
今回は、新型コロナの影響により4月・5月の2カ月間休校となり、授業日数確保のために夏休み期間を短縮しており、暑い時期に登校させるため、感染予防と熱中症対策として設置しておりますので、設置期間は9月30日までとしております。
「Withコロナ」の生活に加え、注意するべき熱中症の問題。短い夏休みが明けた学校も多いと思うが、子どもたちの学校生活がより安全なものになるよう、様々な工夫が必要となる。
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