エヌビディアとソフトバンクが、AI活用をした技術革新の加速に向けた連携を発表した。
高性能AIスーパーコンピューターの構築や次世代の通信システムを開発する予定だ。
専門家は、これまでの大型投資経験から、ソフトバンクのリスクマネジメント能力に期待している。
日米企業タッグでAI活用の新技術を推進
アメリカの半導体大手エヌビディアと、日本のソフトバンクグループの両トップが描くAI(人工知能)の未来とは。
この記事の画像(11枚)東京・港区で、エヌビディアのフアンCEOと、ソフトバンクグループの孫会長兼社長が対談、2社が連携し、AIを活用した技術開発を加速する考えを強調した。
エヌビディア・フアンCEO:
エヌビディアとソフトバンクはパートナーとなって、これからとてつもない価値を共につくっていこう。
ソフトバンクグループ・孫会長兼社長:
マーケットは巨大だからね。
エヌビディア・ファンCEO:
日本でこんなに意義あることができるなんて、本当にうれしい。期待でいっぱい。
ソフトバンクグループ・孫会長兼社長:
まだ始まったばかり。多くのことを一緒にやっていこう。
対談で、両社は高性能のAIスーパーコンピューターを構築することを発表した。
また、ソフトバンクが進めているAIを搭載した基地局に、エヌビディアの技術を組み合わせた次世代通信システムの開発にも乗り出す。
自動運転やロボットをほぼ遅れることなく動かすことができるほか、電力消費量も少ないとしている。
ソフトバンクは今後、AI基地局を全国に展開し、2026年以降はほかの通信事業者への提供を目指す。
AI投資と次世代データ処理基盤の構築
「Live News α」では、オルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ーー日米のテクノロジー企業によるタッグを、どうご覧になりますか?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
ソフトバンクは、先日「OpenAI」への5億ドル出資を発表しましたが、AIへの投資がますます加速している印象です。
今回も表向きは対等な協業に見えますが、実際はエヌビディアのAIチップをソフトバンクが大口購入したということではないかと思います。
堤キャスター:
ーーそれは、どんな戦略に基づいてのことなのでしょうか?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
AIと共存する時代になればなるほど、とてつもない量の通信トラフィックを処理することになるわけですが、それに対応するために、永遠に基地を増設するわけにはいかないんですよね。
増え続けるデータ処理量と大きな電力需要を抑えていくために、常に新しいテクノロジーが必要で、それが今回のAI-RAN(無線アクセスネットワーク)設備の設置と、そのためのデータセンター基盤というところです。
AIへの投資が本気だからこその投資ではありますが、課題も見えるなと思います。
エヌビディア依存のリスクを承知で挑む大型投資
堤キャスター:
ーーその課題とは、どんなものでしょうか?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
今後も、新しいテクノロジーを開発していかないといけないが、いろんな会社に頼れるかと言われるとそうではなく、一定割合でエヌビディアに頼らざるを得ないところもあるんです。
技術の重要な部分を1社に依存するというのは経営上リスクが高いし、普通こういった手は取りにくいというのがあります。
ただ、こういったリスクを理解しながらも、ある程度全ベットして、事業を成長させてきたのはソフトバンクのやり方でもありました。
堤キャスター:
ーーこれまで、どんな大型投資を成功させてきたのでしょうか?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
例えば、ボーダフォンやArmの買収に兆円単位の投資を行い、なんだかんだで、それを成功させています。
こういった経験から、ソフトバンクは普通の会社では持ち得ないレベルのリスクマネジメントのナレッジがあるし、経験もあるという会社なんです。
だからこそ、こうやって大きく投資をして、ソフトバンクは汎用型人工知能(AGI)、その先の人工超知能(ASI)が実現するまで攻め続けるのではないかと思います。
私たち個人としては、ソフトバンクが「AIが当たり前に日常に溶け込んだ社会」を作るのを楽しみにしていればいいのではないかなと思います。
堤キャスター:
日本におけるデジタルインフラの構築が進み、AIを活用した豊かな未来を期待したいです。
(「Live News α」11月13日放送分より)