国内初“糖質ゼロ”ビール
家飲み需要の追い風が吹く中、この秋からビールの税金が引き下げられる。
キリンビール・布施孝之社長:
Withコロナ生活において、健康志向は今後も伸長するものとみております。ビールの魅力を広げる新しい価値の提案を行っていきたい
キリンビールが8月27日に発表したのは、ビールでは国内初という糖質ゼロの商品「キリン一番搾り 糖質ゼロ」。10月から販売を始める。
従来の「一番搾り」に比べるとすっきりしていて、あと味に麦芽の感じがしっかり残っているという。
ほかのメーカーでも、ビールの販売を後押しする取り組みが。
サントリーやサッポロはキャンペーンなどを展開するほか、アサヒビールは10月末から6缶パックなどのパッケージに新たに製造日を記載し、出来たてをアピールし消費者取り込みを狙う。
好調な「第3のビール」苦戦する「ビール」
しかし、メーカー各社によると、販売数量は第3のビールが好調な一方で、2020年に入ってビールは大きく落ち込んでいる。
では、販売が苦戦する中、なぜ今、メーカーはビールに注力するのだろうか?
最終的に税額の一本化で価格差も大幅縮小へ
その理由の1つが、10月の酒税改正。
現在は350ml缶1本あたり、ビールが77円、発泡酒が46.99円、第3のビールが28円となっているのを、今年10月からビール、発泡酒、第3のビールの税額を段階的に縮めていき、2026年10月には税額が全て54.25円に一本化される。
まずは、10月から350ml缶1本あたりビールの税額は7円下がる一方、第3のビールは9.8円上がる。
メーカーによると、現在、ビールと第3のビールの店頭価格は350ml缶で約75円~80円の差があるが、10月にはこれが約60円に。
2026年10月には25円~30円ほどと価格差が段階的に縮まる見込みで、ビールの税額が下がるのに合わせ、需要を再び掘り起こしたい考え。
キリンビール マーケティング部・鈴木郁真ブランドマネージャー:
ビールが飲みたいんだけど、健康が気になって発泡酒やそういった商品を選んでいた人が本当に多くいらっしゃいます。糖質ゼロの商品を提供することで、ビールの改めての(購買)喚起につなげたいと思っております
“第3のビール”駆け込み需要に対応
一方で、10月から値上げとなる第3のビール。都内の酒店では駆け込み需要を見込んで、売り場を強化している。
やまや東京地区 地区長・田中健介さん:
9月いっぱいはまず、一生懸命 新ジャンル(第3のビール)を売っていくということです
やまや大森店では、すでにまとめ買いをする人が増えてきていて、仕入れ量を増やして対応しているという。
酒店の客A:
ちょっと考えますよね(第3のビールを)買いだめしようかなと思っています。
酒店の客B:
税額の差が詰まってくるんであれば、どっちを買おうか考えるかもしれないです。ビールの方が買えるならビール飲みたいです
新型コロナの影響で家飲み需要が伸びる中での税額変更は、ビール類の商戦を大きく変えることになりそうだ。
(「Live News α」8月27日放送分)