世界遺産・厳島神社で有名な宮島で、“黒いギャング”とも言われるカワウと、それを撃退しようとする地元職員の戦いが繰り広げられていた。カワウはピーク時には数千羽訪れ、ふんにより原生林が枯れてしまうという。カワウを追い払うため、白いテープを張り巡らすなど地元職員は対策に追われていた。

“黒いギャング”撃退作戦

カメラの前に現れた黒い鳥の大群の正体は“黒いギャング”とも呼ばれる、カワウだ。

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撮影されたのは、厳島神社がシンボルの世界遺産の島・宮島。

FNNは、この島で起きている深刻な被害の実態を取材し、カワウと地元職員の戦いを追跡、今回乗り出した新たな作戦にも密着した。

「執着心が強い」宮島のカワウ

世界遺産の島・宮島の周辺を飛び回るカワウ。
10月、島の北東部には廿日市市と広島県の職員の姿があった。

廿日市市農林水産課・鹿野陽介さん:
宮島に来るカワウはかなり執着心が強いので、今回は宮島に来る前にテープを張って嫌がらせをしようという計画です。

陸と空から風になびくテープを木々に張り巡らせ、視覚と聴覚で、島にカワウを近づけない作戦だ。

宮島漁協・丸本孝雄組合長:
1週間前(10月中旬ごろ)から100羽とか…。だんだん増えてきているので、分散してくれたら助かるんだけどね。

カワウにとって、冬場も餌の魚が豊富な瀬戸内海は越冬に適した場所。

そのため、関西方面などからも多くやってきて県内最大の寝床と化す宮島はここ数年、12月以降をピークに数千羽が押し寄せるようになった。

白いふんには酸性の物質が含まれるため、冬場だけとはいえ、数千羽のカワウが居座ると原生林は枯れてしまう。

“撃退作戦”もカワウは寝床奪還

それだけでなく、海の魚も食べ尽くすことから“黒いギャング”とも呼ばれているカワウ。

地元の廿日市市と広島県は、これまでもカワウを追い払うため、沿岸部の木々にテープを張り巡らせるなどの対策を講じてきた。

しかし取材から1カ月、再び寝床を訪れると、カワウの大群は何事もなかったかのように、元の寝床を奪還。

取材した記者は、「白いふんの部分が増えたように感じられ、臭いがひどくなっている」と話した。

宮島ではここ数年、個体数が急増し、対策をとっても同じ場所にとどまり、根本的な課題解決にはつながっていない。

宮島漁協・丸本孝雄組合長:
テープになれているのかもしれない。(Q.前はそんなことはなかった?)以前はテープを張った時点でほとんどいなくなった。

許可なくカワウ捕獲できない縛りも

目立った効果が見られないという“カワウ撃退作戦”。

昨シーズンはカワウの数が増えてから対策をとったが、今シーズンは未然に被害を防ぐため、カワウが飛来する前から対策に乗り出したのだ。

廿日市市農林水産課・鹿野陽介さん:
海側から戻ってくるときに一番目立ちやすいように、(陸側の)先端にテープを付けるようにしました。

少しでもカワウに気付いてもらえるよう、海側の2カ所、合わせて500メートルにテープを張り巡らせた。

宮島漁協・丸本孝雄組合長:
継続してやってもらえたら助かる。

宮島は島全体が特別史跡などに指定されているため、許可なく樹木を切ったり、カワウを捕獲することができない。
法的な縛りがある中で継続的な対策が求められる。

廿日市市農林水産課・鹿野陽介さん:
見ての通り山肌が崩れてきている。なんとか防いでいかないと。奥の大きな木も崩れていくので、今やらないとまずい。カワウが来なかったら一番ベストな対策ができたと思うので、それを目指しています。
(「イット!」11月12日放送より)

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