奥能登を襲った豪雨災害では10月1日時点で2300戸あまりで断水が続いていた。断水の原因は何なのか。なぜ断水が長引いているのか。復旧作業の現場を取材した。

水道管の復旧作業現場 輪島市町野地区
水道管の復旧作業現場 輪島市町野地区
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懸命な復旧作業が続く現場

10月2日。輪島市町野地区で水道管の復旧作業が行われていた。地中2メートルほどの深さに埋められている水道管が破断しそこから水が漏れ出ていることが判明。新しい配管を取付ける作業が進められていた。「地震のときから漏れていた可能性もあるし、この大雨の影響で地盤がずれてここに無理がかかって管が折れたという場合もある」配管業者はこのように話す。

断水の原因とは?

今回の豪雨災害では輪島市、珠洲市、能登町の合わせて2325戸で断水が続いている。(10月1日15時時点)断水の主な原因は何なのか。水道の復旧作業を担う名古屋上下水道局建設部の外狩賢一担当課長に聞いた。「河川が氾濫して、その水が水管橋を押し流してしまう。また、土砂崩れが起きた場所に水道管があると管路が破断してしまう。」地下を通る配管が破損した地震の時とは違って、橋などにつけられている水道管が氾濫した川の水や流れ込んできた土砂で流されてしまうことが断水の主な原因だという。また、地下の配管も水で川べりがえぐられたことであらわになってしまい、そのまま流されたり、壊れたりしたそうだ。

橋に沿って渡された水道管も破損した
橋に沿って渡された水道管も破損した
川の氾濫でえぐられてあらわになった水道管
川の氾濫でえぐられてあらわになった水道管

断水が長引いている原因にも土砂崩れが関係していた。「土砂崩落があるとそこから先の道へ行けない。その復旧ができないとその先に通水ができない。そうしたところはまず道路直して、道路が行けるようになって、復旧して、ということになるので時間がかかる」と外狩担当課長は話す。地区によっては断水の解消までに2ヵ月近くかかるところもあるという。

住民に温かいお風呂を…再開急ぐ温泉施設

住民にとって不自由な暮らしが続く中、復旧作業を急いでいたのは輪島市河井町の温泉施設「輪島カブーレ」だ。施設の1階は深刻な浸水被害を受けた。「ここ一面畳があったんですけど、ぷかぷか浮いてしまうような被害があって、ここ全部が泥水で埋まってしまうような。」スタッフはこう話す。泥を取り除いて乾かして消毒してを繰り返し、完了までは1ヵ月かかる見込みだ。そんな中で、源泉を地下からくみ上げるポンプだけは奇跡的に無事だったため、10月3日に温泉部分だけオープンすることにした。

温泉部分だけを急いで再開させた輪島カブーレ
温泉部分だけを急いで再開させた輪島カブーレ

10月3日に温泉部分が再開されると、さっそく地元の人が訪れた。中には、自宅の給湯器が水に浸かったり浴槽が泥で埋まったり、工事業者が見つからず入浴がままならない人もいた。「温かいです、広くですし、助かります。水をくんできても足りないくらいなので、普段水のありがたみを感じていなかったかが分かります」と客は話す。

再開初日、温泉には多くの人が
再開初日、温泉には多くの人が

輪島カブーレの寺田誠施設長は「だんだん寒くなってきて朝晩冷えてきているので、仮設住宅で生活している方、避難所で生活されている方もいるのでそういう方に少しでも温かいお風呂を楽しんでもらいたい」と呼びかける。この温泉では豪雨で被災した人たちを無料で受け入れるという。

(石川テレビ)

石川テレビ
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