大京が東京都内で、エネルギー消費を実質ゼロにする「ZEH-M」基準を日本で初めて満たすマンションのモデルルームを公開した。省エネ性を強化している点が特徴で、専門家は、脱炭素に貢献する住宅の普及が今後重要だと指摘している。
日本初の省エネ最上級マンション公開
日本初となる、最高ランクの省エネ基準を満たすマンションのモデルルームが公開された。

大京が公開したのは、東京都内に建設中の「ザ・ライオンズ世田谷八幡山」のモデルルームだ。このマンションはエネルギー消費が実質ゼロで、環境配慮型マンションとして、最上級ランクを意味する「ZEH-M」の基準を日本で初めて満たしている。

ガスを使って発電するエネファームや、断熱性の高い窓を採用して省エネ性を高めたほか、屋根に太陽光パネルを約500枚設置している。

これにより、光熱費が年間で約16万円削減できるとしている。

大京・蔭平良昭 執行役員:
1100坪の大きい敷地になりますので、創エネ・省エネを実現できている。(ターゲットとなる)パワーカップルは、省エネ・防災性に非常に関心を持つ方が多いので、その辺を重視してお客様には提供していきたい。

「ザ・ライオンズ世田谷八幡山」は、2025年9月から入居開始予定となっている。
長く使用する建築物は環境に大きく影響
「Live News α」では、日本総合研究所チーフスペシャリストの村上芽(めぐむ)さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
省エネ最上級のマンション、どのようにご覧になりますか。

日本総合研究所チーフスペシャリスト・村上芽さん:
ZEHとは、ゼロ・エネルギー・ハウスの略です。一戸建ての住宅の省エネ性能を高めたり、太陽光発電を付けたりするなどして、エネルギー消費量を差し引きゼロにするものです。
このZEHの集合住宅版をZEH-Mと言います。2022年度の新築戸建て住宅のうち23%がZEHでした。これに対してZEH-Mの供給割合は、2020年度に1.21%だったので、普及はこれからの段階です。
堤キャスター:
これから住まいを作る場合は、環境に配慮したものも、望まれますよね。
日本総合研究所チーフスペシャリスト・村上芽さん:
気候変動の原因になる温室効果ガスが、どこから出てきているかというと、電気を消費する側で計上した場合、全体の約3分の1が住宅やオフィスビル、商業施設などの建築物からになっています。
建物は、一度建てると長く使い続けるため、新築する時点で、どこまで脱炭素に貢献できるかが重要になります。
余剰電力の蓄電と災害時活用が可能
堤キャスター:
村上さんは今回の取り組みで、特に注目されたポイントなどは、ありますか。

日本総合研究所 チーフスペシャリスト・村上芽さん:
太陽光発電に加え、蓄電池や井戸を備えることで、災害時にも使えるようになっていることです。再生可能エネルギーは、季節や時間帯による変化が大きいので、どうしても消費する以上に発電できてしまうときがあります。
余った分は売る、という選択肢もありますが、社会全体で余る場合には捨てられてしまいます。そこで、電気を貯めておければ、夜間にも使えたり、万が一の時にも使えたりするわけです。
堤キャスター:
環境に配慮した住宅が広がっていくといいですね。
日本総合研究所 チーフスペシャリスト・村上芽さん:
東京都がネット上に公開している「東京ソーラー屋根台帳」というものがあります。これは都内の建物が、太陽光発電や太陽熱の利用に向いているかどうかを、大まかに把握することができるものです。
今は省エネリフォームへの補助がある場合もあるので、関心を持った方はぜひ一度、調べてみていただきたいと思います。
堤キャスター:
地球規模での課題解決が必要な今、限りあるエネルギーをどう有効に活用していくのか。生活に欠かせない「住まい」の在り方も変わっていくのかもしれませんね。
(「Live News α」10月3日放送分より)