2023年の民間給与所得者の平均給与は約460万円で、3年連続の増加となった。
男女間や正規・非正規間、業種間での給与格差が依然として大きい。
専門家は、持続的な賃上げのためには、生産性の向上が重要だと指摘している。

平均給与の増加に業種・雇用形態での差

会社員の平均給与は、約460万円だった。

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2023年の民間の給与所得者の平均給与は、459万5000円だった。

平均給与の増加は3年連続で、10年前の2014年と比べると、38万6000円増えている。

男女別の平均給与
男女別の平均給与

男女別では、男性が568万5000円で前の年より5万2000円増え、女性は315万8000円で2万1000円増加した。

雇用形態別の平均給与
雇用形態別の平均給与

雇用形態別では、正社員は530万3000円で7万円増、パートやアルバイトなどは201万9000円で、1万4000円増加した。

業種別の平均給与
業種別の平均給与

業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が774万9000円で最も高く、「金融業・保険業」の652万円、「情報通信業」の649万2000円が続く。

最も低かったのは、「宿泊業・飲食サービス業」の264万1000円だった。

一方、2023年の1年間のボーナスの平均は71万4000円で、前の年より2000円減少した。

鈍化と格差…生産性向上が持続の鍵

「Live News α」では、働き方に関する調査・研究を行っている、オルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーー会社員の給与が3年連続で増えていて、平均460万円ということですが、石倉さんは、どうご覧になりますか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
まずは賃金が増え続けている、ということは重要なので、そういう意味では最低限はクリアしたという感じ。ただし、伸び率が0.4%と、鈍化してるのはやはり気になります。

中身を見てみると、男女での差、正規社員とアルバイトパートの差、さらには業種間の差が大きいです。やはり、生産性を上げにくい業種、例えばサービス業や宿泊業は、女性かつ非正規の人が多く従事してるので、差がついてしまっているということでしょう。

堤キャスター:
ーーやはり、給料の底上げを図っていく必要がありますよね?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
一経営者として感じるのは、この賃上げを続けていくためには、ただ賃金のベースを上げていくなど、人事制度での変更だけだと限界があるということです。

つまり、収益性や利益率が上がらないと、賃上げに耐えられなくなってしまう時点が来ます。だからこそ企業としては、賃上げになんとか耐えられている水準の間に、生産性の向上や構造的な転換をできるかが重要となります。

そういった意味では、賃上げ率だけではなく、生産性の向上率を常にウォッチし続けるということも重要です。

生産性向上・利益増に全員が取り組む

堤キャスター:
ーー具体的には、どんな取り組みが考えられるのでしょうか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
賃上げは、政府からの要請や社会的な要望によって、企業も「やらないといけない」となっていますし、実際に取り組んでいます。

これと同じように、例えば生産性の改善率の公表を義務づけたり、デジタル投資額の公表を義務づけるなどして、生産性を上げることに内外からプレッシャーを与えるのもありではないでしょうか。

内部留保のように残った部分を配分する議論もありますが、それは利益が残らなければできません。そうすると、そもそも1人あたりの利益を増やすことこそ本質なので、生産性を上げ続けるということに、皆がコミットしている状態を作ることが重要だと思います。

堤キャスター:
物価高が進む中で、給与の底上げをどう図っていくか。
今の日本はもちろん、未来の日本のためにも、国、企業、そして個人が今できることを行っていきたいですね。
(「Live News α」9月25日放送分より)

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