岡山県内のPTAが加盟する岡山県PTA連合会が、2024年度末で解散することを9月2日にホームページ上で発表した。都道府県単位の連合組織の解散は全国で初めてとなる。
会員数減少に歯止めかからず
PTA組織は日本PTA全国協議会、「日P」を頂点とするピラミッド構造になっていて、今回解散を決めた岡山県PTA連合会、県P連はその下部組織にあたる。
この記事の画像(9枚)県P連の解散の大きな理由は、会員数の減少に歯止めがかからないためだ。今、PTAの連合組織の存在意義が揺らいでいる。
9月2日、岡山県PTA連合会が2024年度末で解散することを発表した。岡山県P連のホームページには、「令和7年3月末日をもって解散する事を決定致しました。」と記載されている。
岡山県P連は1948年の設立で、2008年度には県内全ての郡と市のPTA連合会、約18万人が加盟していた。
しかし、年会費に見合うメリットがないなどの理由から脱退が相次ぎ、現在は5団体、約9800人にまで減少している。
活動費は主に年会費で賄っていることから、今後、十分な事業に取り組めないとして2024年度末での解散を決めた。
岡山市の連合組織、岡山市PTA協議会は、市が政令市に移行した2009年に県P連から脱退した。
当時の会長・堺史郎さんは「(県P連の活動は)大体、報告。『国の文部行政はこう進んでいる』というのを報告してくれる。横の連携はなかった。他の市が何をしているのかは分からなかった。情報は、今頃はネットで十分。県Pを抜ける時も不都合があるかと(岡山市内の)PTA会長会で議論したが、『特にないよね』と(脱退を決めた)」と話す。
「県P連が生まれ変わるチャンス」
小学校のPTA会長を3年務め、PTAに関する書籍も出版している専修大学法学部の岡田憲治教授は、「岡山特有の問題ではない」と指摘する。
岡田教授は「コロナ禍でみんな分かってしまった。なくても別に困らないと。原資がなくなって、(運営が)立ち行かなくなった。岡山県独特の理由ではなく、この先も必ず起こること」と語る。
そのうえで、岡田教授は県P連には役割があり、生まれ変わるチャンスだと言う。
岡田教授は「地域の小学校の保護者や先生も含めて、現場を生きる人たちの苦しみ・悩みを聞き、あるいは前向きな提言を統合して、県の教育委員会との間にパイプをつくって、定期的な協議をしてそれを伝える役割。そういう役割に限定すれば、人々の負担は激減するし、必要だと思った人がボランタリーで10人ぐらい(集まる)。岡山県で10人は来てくれる」と述べ、そして「(組織が)スリム化され、役割が限定されて、本当にありがたい情報をくれるところになる大チャンス」と語った。
岡田教授は、そもそもPTAは、保護者の入退会が自由の任意団体であるにもかかわらず、入会の意思確認が行われていない状態が続くなど、改革のスタートラインに立てていないケースも多いと話す。
今や夫婦共働きの家庭がほとんどを占め、教職員においては忙し過ぎるといった問題があり、PTAという組織ができた時代とは前提となる条件が大きく変わっている。今こそ「子どもの成長のための保護者と教職員の団体」という本来の意義に立ち返り、今の時代にあったPTAとしてできることを考える時期に来ていると言える。
(岡山放送)