東京株式市場で19日、日経平均株価が一時1000円超の上昇を記録した。これは、アメリカのFRBが0.5%の大幅な利下げを決定した影響とみられる。専門家は、事前の情報共有による市場の冷静な反応を指摘し、引き続きアメリカ経済の動向に注目が必要だと述べた。
アメリカの大幅利下げ追い風に…日経平均が急騰
アメリカの金利の引き下げを追い風に、日経平均が押し上げられた。
この記事の画像(11枚)9月19日の東京株式市場は、朝からほぼ全面高の展開となり、日経平均株価は、一時1000円を超える値上がりとなった。
その背景にあるのが、日本時間19日未明にアメリカのFRB・連邦準備制度理事会が決定した政策金利の0.5%大幅利下げだ。
FRB・パウエル議長:
この決定は、政策スタンスを適切に再調整すれば、労働市場の強さは、緩やかな成長と持続的なインフレ率2%への低下という状況を維持できるという、私たちの自信を反映したものだ。
このFRBによる大幅利下げが、日本経済にもよい影響を与えるとの見方が投資家の間に広がったことや、外国為替市場で、円相場が一時144円台間近まで円安ドル高が進んだことも追い風となり、株価は続伸し、平均株価の終値は、約2週間ぶりに3万7000円台を回復した。
一方、日銀では、19日から2日間の日程で、金融政策決定会合が行われている。日銀は、7月に追加利上げを決めたが、前回の利上げによる影響を見極めるため、会合では、政策金利を今の0.25%程度に据え置くとの見方が大勢だ。
アメリカのFRBが、大幅利下げを決めた直後のタイミングだけに、9月20日の会合後に行われる、植田総裁の記者会見での発言が注目される。
「市場との対話」で混乱回避・利下げ継続へ
「Live News α」では、経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
アメリカの金利引き下げに、株価も反応しました。どうご覧になりますか。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
4年半ぶりの金利の引き下げ、しかも0.5%という大幅な利下げでしたが、アメリカ株は、堅調に推移しています。インフレ退治の「引き締め」から、景気の軟着陸をアシストする「緩和」に大きく舵を切ったことになります。
ここで注目は、FRBの政策金利の変更は0.25%だと最初みられていましたが、0.5%という大幅な利下げであったのに対し、マーケットは、今のところ混乱していないということです。
堤キャスター:
それは、どういうことでしょうか。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
中央銀行は金融政策の変更による、混乱を避けるため事前に何らかの形でアナウンスをします。これが「市場との対話」と言われるものです。
1週間前に、ウォールストリートジャーナルなどが、大幅利下げの可能性があると報じています。これでマーケットは、大幅な利下げを事前に織り込み、冷静に受け止めることが出来た可能性があります。いずれにしろアメリカは、「利下げ」を続けます。
アメリカの利下げで円安進行も…慎重な判断が不可欠
堤キャスター:
今後の為替の動きについては、いかがですか。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
アメリカが利下げすると日米の金利差が縮小するため、為替は円高に振れると言われていたのに、少し円安に戻しています。
アメリカで、景気のアクセルにも、ブレーキにもならない金利水準「中立金利」が、現在上昇している点に、私は注目しています。そんなに金利の引き下げを続けられないのではないか、という見方があり、これが今日の段階で、少し円安に寄与しています。
実際に、アメリカの10年債利回りは、利下げを決めたにも関わらずFOMC通過後に上昇しています。これが円安に戻った背景になります。
円安ならば、輸出企業の有利も続きます。加えてアメリカの景気の良さを先取りする形で、9月19日の日経平均も、ポジティブに反応しました。
堤キャスター:
次の焦点は、明日(20日)の日銀の金融政策決定会合になるかと思いますが、いかがですか。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
日本の利上げは「ない」とみられています。しかし、長期的にみて、日銀は1%の金利推移を、いずれ目指す発言も出てきています。マーケット、さらには企業の業績にも大きく影響する可能性があるので、慎重なコミュニケーションと判断が求められます。
堤キャスター:
金利の引き下げによる株価や債券への影響など、引き続き、アメリカ経済の足取りを注視していく必要がありそうです。
(「Live News α」9月19日放送分より)