JR鹿児島中央駅に直結する「アミュプラザ鹿児島」が2024年9月、開業20年を迎えた。この20年の間に九州新幹線は鹿児島中央~博多間が全線開業し、駅周辺は新たな街として今なお発展し続けている。
仕事の休みをとって祝いに来る人も
2024年9月17日、開業20年を迎えたアミュプラザ鹿児島。この日の朝、正面玄関には、開店を待つ客の長い列ができていた。
この記事の画像(10枚)スタッフが準備したのは花言葉が「感謝」のガーベラとクッキー。先着200人の来店客に、スタッフから感謝の気持ちを込めて手渡された。
この20年でアミュプラザ鹿児島には、約2億9000万人が来館した。
来館者からは、「アミュの誕生日と聞いて仕事の休みをとって楽しみにしていた」「友達と気軽に来られて、鹿児島で唯一遊べる場所」との声が聞かれ、新たな文化、話題の発信地として市民に愛されていることがうかがえた。
九州新幹線開業の半年後にオープン
アミュプラザ鹿児島の歩みは、九州新幹線の歴史と重なる。
2004年3月13日、九州新幹線が部分開業。「西鹿児島駅」から名を改めた「鹿児島中央駅」から熊本・新八代駅までの127kmを、6両編成の800系新幹線「つばめ」がわずか35分でつないだ。博多までは在来線に乗り換える必要があったが、それまで3時間50分かかっていた鹿児島~博多間が2時間10分と、1時間40分も短縮された。
その半年後に開業したアミュプラザ鹿児島には、オープン初日、約9万人が訪れた。当時「(南九州最大の繁華街)天文館が移動したみたい」とインタビューに答える客がいたように、県民の期待、関心は極めて高かった。
鹿児島に初めて登場するファッションブランドも多く、福岡や東京まで出かけなくても鹿児島でショッピングが楽しめるようになった。映画館にレストラン、そして直径約60メートル、高さ最大91メートルの大観覧車「アミュラン」。圧倒的に天文館エリアに集中していた人の流れが、鹿児島中央駅周辺にも向かうようになった。
2011年3月12日、九州新幹線は博多まで全線が開業。前日に発生した東日本大震災の影響で出発式やイベントは中止となったが、N700系をベースにした8両編成の「みずほ」「さくら」による山陽新幹線との相互直通運転も始まり、鹿児島中央から新大阪まで乗り換えなしで、最速3時間45分で行けるようになった。
鹿児島中央駅は南九州の陸の玄関口としての知名度を高め、アミュプラザ鹿児島はそのシンボル的存在となった。
開業10年以降も進化は続く
開業10年を迎えた2014年には、鹿児島中央駅東口のシンボルとなっていた大階段が撤去され、黒い外壁が特徴の「プレミアム館」がお目見えした。東急ハンズ(現・ハンズ)やサブウェイなど9店舗が鹿児島に初進出した。
さらに2021年には、プレミアム館と道を挟んだ「19番街区」「20番街区」と呼ばれるエリアにマンションと商業施設からなる「Li-Ka1920」がオープンした。地上24階、地下1階建てでプレミアム館2階とデッキで直結。さらにそこから鹿児島市電が通る「電車通り」をまたぐ歩道橋も整備され、鹿児島駅東口周辺の回遊性がさらに高まった。
2023年4月、今度は鹿児島中央駅西口に新たな商業ゾーン「AMU WE」がオープン。スーパーマーケットやクリニックなどが入り、アミュプラザ鹿児島と一体となってにぎわいを創出している。西口エリアもこの20年で景色が大きく様変わりして現在に至っている。
交流人口増加や街づくりに期待
アミュプラザ鹿児島には、現在、約270店舗で約2900人が働いている。2024年10月からは、店舗ごとに開店と閉店の時間を選べるフレックスタイム制度を導入するなど変化をしながら発信を続けるという。
アミュプラザ鹿児島の山崎慎介社長は、「この20年間で鹿児島のランドマークとして陸の玄関口の役割を担ってきたと感じている。これから先も変化を止めずに楽しんでもらえるアミュにしていきたい」と抱負を語った。
周辺のさらなる再開発が進む中、アミュプラザ鹿児島には鹿児島中央駅地区の交流人口増加や街づくりに大きな役割が期待される。南九州の陸の玄関口として、今後の動向をしっかりと見守っていきたい。
(鹿児島テレビ)