「龍のしっぽ」を切ったのは「近所にいたカニ」だった・・・
【動画】金龍ラーメンの「龍のしっぽ」切ったのは「カニ」だった? カニのハサミに挟まれて登場
8月、民事裁判の結果切り取られた、大阪・ミナミのラーメン店のシンボルとして親しまれていた龍の立体看板の「しっぽ」。近所にある「かに料理店」の立体看板が持った形で展示する取り組みが17日、始まった。
騒動を逆手にとって、地域の活性化につなげようという取り組みだ。
■裁判を受けて「しっぽ」を切断

「金龍ラーメン道頓堀店」は国内外から客が訪れる人気店で、龍の立体看板は店のシンボルとして知られている。
しかし、龍のしっぽの部分などが隣接する土地にはみ出しているとして、土地を所有する不動産会社が撤去を求めて4年前、裁判を起こし、金龍ラーメン側は、ブランドイメージが低下するなどと反論していたが、大阪地裁は去年10月、はみ出した龍のしっぽ部分などは「不動産会社の土地所有権を侵害している」として金龍側に撤去を命じた。

ことし5月の控訴審でも金龍側の主張は退けられ、立体看板の『しっぽ部分』の撤去を求める判決が下されたため、金龍側は「裁判手続きにこれ以上心血を注ぐことは難しい」などとして上告を断念し、『しっぽを切る』決断に至った。

そして8月23日には、しっぽが切り落とされることに。

切られたしっぽの断面は「金龍ラーメン」の名前にちなんだ「金色」に塗装されたほか、切断された痛みに耐えるかのように、龍の目の下に『水色の涙』が取り付けられた。
■「地域活性化のため」実現したコラボ

そして9月17日からは期間限定で、近隣にあるカニ料理店「大阪かに源 新道頓堀店」の立体看板のカニが、この龍のしっぽを挟む形で展示することになった。
同じ道頓堀にある飲食店同士で地域活性化のためにコラボレーションした企画だということだ。
カニの立体看板の横には、「金龍さん、まあ、気張っていこや!」という応援メッセージも掲載されている。
■石川・七尾市出身の社長が「震災の復興支援」にも活用

また「大阪かに源」を経営する武田源社長は、能登半島にある石川県七尾市の出身。
「龍のしっぽ」を「カニ」に持たせて展示することで、募金活動のPRなどに活用し、能登半島地震の復興支援につなげたいと話している。
大阪かに源 武田源社長:以前道頓堀で、能登半島地震の募金活動をやらせてもらい、金龍ラーメンさんはもちろんたくさんの商店街の方、大阪の方に協力してもらいました。今回金龍ラーメンのニュースを見て、何かできないかなと。恩返しという意味合いで。 能登半島(地震復興支援)の募金活動を(龍のしっぽを挟んだカニの)看板のもとでやっていくつもりなので、募金活動が広まったらいいかなと思っています。 『捨てるしっぽあれば拾うカニあり』というところですかね!
■実は廃棄処分の予定だった「しっぽ」 制作者も設置作業見守る

設置工事が始まる少し前、「龍のしっぽ」は、金龍ラーメンの立体看板を制作した「ポップ工芸」の中村雅英前社長から、かに源の武田社長へと手渡された。

ポップ工芸は、道頓堀のユニークな立体看板の7~8割を制作しているということで、金龍ラーメンのものは、中村前社長が初めて手掛けたものだった。
取り付けは施工業者が担当し、ほかの土地にはみ出して設置されるとは思っていなかった。切断時には…
ポップ工芸 中村雅英前社長(8月23日):なんかそういう事情があって取らなあかんとなると寂しいのはさみしいですね。

実は切断後、しっぽは廃棄処分されることになっていたそうで、中村前社長は17日朝、喜びを語っていた。
ポップ工芸 中村雅英前社長:廃棄処分することになっていた。このしっぽも喜んでいると思います。廃棄するものが、道頓堀にとって、繁栄に役立ってくれるのはうれしいと思います。奇抜なアイデアで面白いかなと思いますけどね。

大阪かに源 武田社長:ちょっと傾ける感じ、右か左。
設置作業では、カニが挟んでいるとはっきりわかるように、微調整しながら行われた。

ポップ工芸 中村前社長:いろいろ下から見てたけど、この角度が目立つと思いますよ。切ったしっぽを活かしてくれはって、みんなが見てくれたらうれしいですね。

龍のしっぽは、10月頃まで挟まれるということだ。
(関西テレビ 2024年9月17日)