マイナビが、元社員(アルムナイ)と現社員が会する交流会を開催した。
交流会では、ビジネスマッチングに注力し、アルムナイは新たなビジネスチャンスを得ようと積極的に参加した。
専門家は、これからは元社員との関係構築が企業にとって重要になると指摘している。
元社員と現社員がビジネスマッチング
現社員と元社員のつながりを強めて、新たなビジネスを生み出す交流会が開催された。
この記事の画像(14枚)9月11日夜、マイナビが50周年を記念して、交流会を開催した。
参加者には、ある“共通点” がある。
参加者からは「2009年3月に辞めている」、「2011年に卒業した」などの声が聞かれた。
参加していたのは、マイナビを中途退職した元社員で、英語で「卒業生」などを意味する「アルムナイ」と呼ばれる人材だ。
今回は、100人以上のアルムナイが参加し、マイナビの現役社員も交ざり、同窓会のような雰囲気になっていた。
社員:
今いろいろ大変じゃん。
アルムナイ:
いろいろね、いろいろある。
社員:
セミナーとかするときに連絡します。
アルムナイ:
そうですね、ぜひ。
古巣に対する理解の深さや、別の企業で働く経験を持ち合わせるアルムナイは、企業にとってビジネスパートナーになり得る貴重な存在だ。
そこで、今回の交流会は、ビジネスマッチングに特化した会場作りに注力した。
アルムナイが、現在行う事業のプレゼンエリアや、マイナビ側からアルムナイに依頼したい案件を紹介するエリアなども設置された。
こちらの女性は早速、マイナビ担当者とマッチングしていた。
仕事の話をくわしく聞きたい参加者は、商談エリアで、じっくりと情報交換を行うことができる。
アルムナイ(2024年2月に退社):
今もマイナビから仕事をもらっているので、そのマイナビからの仕事の輪が、ほかの事業部につながったらうれしい。
アルムナイ(約2年前に退社):
今はM&Aの仲介の会社をしている。今の仕事に少しでもつながればいい。名刺がいっぱい取れればいいと思っている。
「元」社員と「現」社員のつながりを強化し、新たなビジネスの種を生み出す交流会。
その見据える先には、何があるのだろうか。
マイナビ 人事統括本部・粟井俊介 統括本部長:
アルムナイに、当社の今とこれからを知ってもらうことで、“じゃあこういうことができる”というアイデアを、僕たちも受け取らせてもらって、新しい事業・サービスを作り上げることにつながっていけばいい。
「終身信頼関係」が社員との関係性に
「Live News α」では、働き方に関する調査・研究を行っている、オルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ーー会社を辞めても続く信頼関係を、どうご覧になりますか?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
以前は、会社を辞めると“裏切り者”扱いされたが、今は「別の道に進むけど、関係は続く」のが前提です。
こうした“アルムナイ”という考え方が広まったのは、「ALLIANCE」という本が2015年に出たのがきっかけです。この本の中で、会社と個人の関係が、「終身雇用」から「終身信頼関係」へ変わることが提唱されています。
堤キャスター:
ーーアルムナイには、多くのメリットがありそうですね。
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
私も自分で会社を経営する前に、3社ほど会社員として働いていますが、3社ともアルムナイ向けのグループがあり、交流が続いています。
アルムナイの中で、仕事を依頼しあったり、また別の会社で一緒に働いたりすることは頻繁にあります。
アルムナイが当たり前になるということは、会社としても、個人としても、「辞め方」、「辞めるときのマネジメント」が重要になってきているということです。
「辞める人への体験提供」が新たな基準
堤キャスター:
ーー具体的には、どうすればいいのでしょうか?
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
会社で、誰かが辞めるとなったときに、「ほかでは通用しない」、「裏切るのか」という話をするのではなく、しっかり対話をして、次のチャレンジを快く送り出してあげることが重要です。
一方、働く人個人で言えば、退職代行などを使う人も増えているが、しっかり業務の引き継ぎをしたり、最後まで一生懸命仕事をして、残る人に迷惑をかけないようにしていくことは大事です。
堤キャスター:
ーーアルムナイが広がると、会社の人材との向き合い方も、変わっていきそうですね。
オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
これから転職が、より当たり前になっていくと、ますます、今いる社員だけではなく、元社員との関係について会社は考えないといけません。
もう1つ、今まで会社は「採用する」、「入社してもらう」ことに工夫してきましたが、これからは、辞める人に対して、どういった体験を提供するのかも考える必要があります。
働いた人と「終身信頼関係」を築ける会社かどうか、これは優秀な人材を引き寄せる新しい基準の1つになっていくように思います。
堤キャスター:
環境が変わったからこそ話せることや、見えてくるものもあります。
そういった相手と接することで、お互いにプラスに働くこともあるかもしれません。
何より、出会いはご縁でもありますから、そのつながりを大切にしていきたいですね。
(「Live News α」9月11日放送分より)