被害を訴える女性が指さす契約書に記されていた金額は「190万円」。
これは、マイホームに設置されるはずだった太陽光パネルの契約書だ。屋根には3年前、太陽光パネルが設置される予定だったが、いまだ取り付けられていない。

同じ業者での被害を訴える声は、契約者だけでなく、太陽光パネルの設置工事を請け負った業者からも上がっていた。

「一切連絡に出てくれない」「これは飛んだなと…」

4年前に東京都内の新築1戸建てを購入したAさんは、その際に不動産会社に紹介された「業者B」と太陽光パネルの設置契約を交わした。

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「戸建てを令和2年に購入して、『このお宅だったら太陽光つけた方がいいですね』みたいな説明を受けて、不動産屋さんの紹介だったので何も疑うことなく信用してしまい、契約に至った感じです。(Q.費用はいくら?)190万円です」

ところが「業者B」は、あの手この手の理由をつけて工事を先延ばしにして、ついには連絡が取れなくなり、雲隠れ状態になったという。

7月を最後に、業者とは連絡が取れなくなったという
7月を最後に、業者とは連絡が取れなくなったという

「7月を最後に、もう一切連絡に出てくれない。会社に電話すると、いつも『現在回線が混み合っております』という音声だけが流れる。戸建てを買った不動産屋さんに紹介してもらったので、問い合わせたところ(被害件数)10件くらいは把握しているとの話でした」

SNSには、同じ「業者B」での被害を訴える投稿が多く見られる。やはり「太陽光パネルが設置されない」というCさんは、直接、都内にある業者の本社を訪ねたが、人影がまったくないような状況だったと話す。

都内にある業者の本社を訪ねたCさんだったが…
都内にある業者の本社を訪ねたCさんだったが…

「8月26日に仕事が早く終わりまして、実際に(本社に)行ってみたら電気もついていなくて、人影も全くないような状況だったので、もうこれは飛んだんだなという印象を受けました」

「コロナ禍で資金繰りに行き詰まり」

一体何が起きていたのか。イット!取材班が業者の行方を追ったところ、11日朝、音声を使用しないという条件でインタビューに応じた。

業者Bは、「コロナが流行したあたりから、資材の高騰や供給の遅延があり、資金繰りが回らなくなってしまった。なんとか解消しようと営業を続けてきたが至らず、現在のような状態になった」と説明。

被害を訴える人たちへの対応については、「月々ちょっとできる範囲で返金させていただく。工事を希望される方には、1年か2年ぐらいで全て終わるかなという計画をしている」と、返金対応や設置工事を進める意思を示した。

太陽パネル設置業者への“未払い”も

しかし、憤りの声は契約者だけでなく、工事を請け負った他の業者からも上がっていた。

「業者B」に依頼され、2024年3月と4月に太陽光パネルの設置工事を請け負ったという会社は、「『やっと工事来てくれたんだ。我々契約したの2年前なんですけど』みたいなお客さんがいまして、その時から何か怪しいなって。ちゃんと金さえ振り込まれれば大丈夫でしょうって言っていた」と当時の状況について明かした。そして月末になり支払いを請求すると、嫌な予感が的中したという。

「案の定4月末締めの支払いが来なくて、支払われてない額が150万円。最後の連絡が8月6日。許せないですね」

国民生活センターによると、太陽光発電を巡るトラブルの相談件数はコロナ禍で減ったものの、再び増加傾向にある。その多くが、契約や解除などに関する相談だという。

被害者が業者社長に“真相究明”も…「誠意がない」

そして11日の取材中、被害を訴えたAさんが、業者Bの社長が雲隠れをしてから初めて、直接、真相を究明する機会が生まれた。

被害を訴えるAさんが業者社長に直接“真相究明”したが…
被害を訴えるAさんが業者社長に直接“真相究明”したが…

「全く誠意を感じないです。どんな忙しい人だって電話ぐらいできるじゃないですか」

3年もの間、工事を行わず、「対応にも誠意がなかった」と業者の社長に思いをぶつけたAさん。

「(社長の声を聞いたのは?)初めてです。この期に及んで、全てに対して逃げているようにしか感じなかった。不信感は膨れました、電話で。全額返金を求めて、一切付き合いたくないですね」

この取材のあと、業者Bはホームページを更新。新たな専用窓口ダイヤルを設け、契約者への対応にあたるとしている。
(「イット!」9月11日放送より)

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