イギリスで、週休3日の実現に向けた動きが活発化している。イギリスメディアによると、週休3日制を導入する法案が10月に提出される見込みで、1週間の勤務時間の合計は変えずに、1日あたりの労働時間を増やすよう検討されるという。

イギリスの「週休3日」法案 「連絡絶つ権利」も盛り込み

イギリスメディアは、「政府が週休3日の促進などを盛り込んだ法案を、10月に提出する検討に入った」と報じた。

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報道によると、1週間の勤務時間の合計は変えずに、勤務を週5日から4日になるよう、1日あたりの勤務時間を増やすよう検討されるという。また法案には、勤務時間外のメールや電話など、いわゆる「連絡を絶つ権利」も盛り込まれるという。

イギリスでは2022年に、週休3日の実証実験が行われ、労働者のストレスや健康が改善されたと報告されたが、業種によっては従業員から不満が噴出し、週休2日に戻した会社もあったという。

人材確保や離職率低下など期待…収入・残業時間は?

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
週休3日制、どうご覧になりますか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
日本でも働き方改革の流れの中で、週休3日制を導入する企業がじわりと広がっています。厚労省の調査によると、週休3日制も含まれる「完全週休2日制よりも、休日が実質的に多い制度」を採用している企業は、約8%となっています。

週休3日制を導入するメリットとして、働き方改革の推進をアピールでき、新しい人材の確保はもちろん、離職率の低下などの効果が期待できます。

堤キャスター:
一方、週休3日制の導入については懸念もあるかと思います。これについてはいかがですか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
マイナビが行なった調査によると、働く人の週休3日制への懸念として多かったのが、労働時間が減るため「収入が減りそう」、「正社員では難しいのではないか」、さらに働く4日は「残業が増えそう」でした。

実際に週休3日制で働いている方に行った調査では、収入がアップした方は約5割で、変わらないという方は約3割、「収入が減った」という方は2割以下でした。

堤キャスター:
収入がアップした方が約5割というのは意外な結果ですよね。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
週休3日制の導入に際して、企業側が働く人の負担を増やさない形で、生産性の向上を図るケースが多いです。   

なかには、増えた休みを副業にあてて、収入アップを図る方もいるようです。収入がダウンしない形で週休3日制が普及すると、消費を刺激する景気の浮揚策にもなります。

堤キャスター:
具体的には、どういうことでしょうか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
安近短のレジャーとして国内旅行、外食、イベントなどの機会が増えますし、趣味に関連する市場もチャンスになるのではないかと思います。

さらに、時間の使い方はさまざまで、キャリアアップの為に自己啓発に時間を使えば、将来的な賃金アップにつなげられます。もちろん、介護や育児にあてる方もいるので、ワークライフバランスを進めることにもなります。

使える時間も、収入も増える形で週休3日制が普及すれば、GDPの半分以上を占める個人消費の盛り上がりを期待できるのではないかと思います。

堤キャスター:
仕事で大切なのは、量ではなく質だと思っています。業務の効率が上がると、生産性のアップにつながり、自分の時間が増えると、生活の満足度は高まります。働き方改革は、休み方改革なのかもしれませんね。
(「Live News α」9月9日放送分より)

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