JR広島駅は新しい駅ビル建築など再開発工事が進んでいる。路面電車が駅ビル2階に乗り入れるための工事を長期にわたり密着取材しているが、この夏は2階に繋がる大規模な橋を交通を止めずにかける難工事に密着した。
工事現場を夏休みに親子で見学
夏休み真っ只中の8月、広島駅の工事現場に親子連れの姿があった。初めて企画された「親子見学会」。
この記事の画像(14枚)子どもたちは、実際に機械に触れたり、担当者へ質問をしたりして、目を輝かせながら工事の進捗(しんちょく)を実感していた。
参加した小学生:
発展が楽しみ
Q:どうなってほしい?
家族連れによく利用されて、バリアフリーな施設になってほしい
工事が進み、日々、姿を変えていく広島駅南口だが、6月には一晩にして巨大な橋が設置された。
この夏は、いくつかに分かれた橋をつなげていく作業に密着したが、下を走る道路の交通を止めずに行うために、少しずつ、ジワリジワリと橋を動かす精密作業だ。
交通を止めないためにクレーンを使わない工法
広電広島駅JV工事事務所・中垣真一所長:
交通量のかなり多い通りを、なるべく止めないために、この方法を選んでいる。夜間、騒音を出さないように大きなものを搬入して、昼間組み立てる方法をとっている
本来、大型クレーンを使えば、スムーズに組み立てることができるが、交通規制の範囲を最小限に抑えるため、限られたスペースでスライドさせながら、パーツを1つ1つ繋げていく。
そして、8月上旬には8つのパーツからなる橋2本を一体化させる精密工事があった。
この日行われたのは、駅の2階に登る駅前大橋の一部75mを横にスライドする作業。約4メートル横に動かし川の上に移動する。3カ所を均等に押さなければ、歪んでしまうが、そこで、作業員の声が上がった。
作業員:
なんだ?なんか…
作業員たちがそれまでとは違った表情で慌ただしく動きだした。
作業員:
ちょっと音がする。その音の原因は、均等に押せていないからだと思う。一個ずつ動かして確認したうえで、もう一回押したらうまくいった
無事に動き出したが、最後に細かい調整が待っていた。
橋をはめ込むためにミリ単位の調整
このまま橋を下ろすと、橋の端がボルトに当たって、はめ込めないことがわかった。
作業員:
計算上は40ミリくらいあく予定だったのが、あきがない。10ミリくらい戻します。
作業員:
あと5ミリ…はい10ミリ。OK!
一方、強い日差しが照り付ける猛暑に負けず着々と進められる作業…
広電広島駅JV工事事務所・長谷川実保さん:
私は広島出身ではないが、ここまで地域の期待を背負ってできる仕事はなかなか関われない。いいものを作って広島の地域に貢献していきたい
8月下旬のある日、ついに長さ約75m、重さ約265トンの橋をゆっくりとおろしていく。
台風が迫る中だったが、なんとか4日かけて計画通り完了。
今回「地上部」と駅ビル2階へと向かう「高架部」を繋ぐまさに"橋渡し役”の設置でまた一つ、大きく景色が変わった。
10月以降には、完全につながっていなかった駅ビルとの間がつながる計画で、2025年春の竣工を目指し、目が離せなくなる。
(テレビ新広島)