児童相談所の一時保護をめぐる裁判。長野県伊那市の男性とその娘が「虐待などがないのに一時保護され、親子の交流を妨害された」などとして、長野県に損害賠償を求める訴えを起こした。県は争う方針だ。
「拉致としか思えなかった」
会見に臨んだ伊那市の団体職員の男性(50)と大学生の娘(20)。親子は、娘が不当に保護され、約1年に渡って、親子の交流が断たれたとして合わせて200万円の損害賠償を求めている。
娘(20):
「高校3年生という進学のことを決める大事な時期に、父親に相談することもできませんでした」
父(50):
「誤認で一時保護は拉致としか思えなかった。この間というのは毎日のように、男ながら泣きました」

訴状などによると、発端は2022年4月。当時、高校3年生だった娘が弁当の中身を捨てたことをめぐって、両親と口論になった。
親子の口論がきっかけに保護
担任に「家に帰りたくない」と相談すると、高校が諏訪児童相談所に連絡。娘は一時保護され、伊那市の児童養護施設に入所することになった。
娘はすぐに戻れると考え、同意したという。

9カ月面会できず…「帰りたかった」
しかし、一時保護が終わる18歳になっても、「愛着障害などがあり、支援が必要」として入所は延長され、受験が終わって大学に進学するまで続いた。
娘(20):
「帰りたかったし、受験のことについて両親と話したかったのが一番大きい。施設の方にお世話になっている気持ちが大きくなって、反抗的なことはすることができなかった」
親子は8月以降、面会ができず、父親が送った10通以上の手紙も届けられなかったという。
被告の県は争う姿勢
親子は「独断的な処分がなくなれば」と提訴に踏み切ったという。
父(50):
「何でもかんでも親とシャットアウトするんじゃなくて、親に対するケアも大事だと思う」
長谷川洋二弁護士:
「親子の仲を裂かなくてもいいのに、裂いているケースがいっぱいあるのではないか。児相の意思に反して子どもが意思を表現するのは難しい。第三者的な人に、続けるかどうか聞くことも必要だと思う」

被告の県は争う姿勢を示し、「主張は法廷で明らかにする」としている。
第1回口頭弁論は9月6日に開かれる。
(長野放送)