米の品薄が続く中、新米の供給が始まり、農水省は米不足の解消を見込んでいる。
一方、オイシックスは、2025年度の新米予約を通常より早く開始し、消費者の不安に応えている。
専門家は、冷静な購買行動や工夫が必要だと指摘している。
米不足…収穫期に向け農水省が意見交換
新米の流通が始まり、お米の品薄状態は解消に向かうのだろうか。
日本人の主食「お米」をめぐり、“令和の米騒動”とも称される米不足が問題になっている。
2023年の猛暑による不作の影響や、外国人観光客の急増による需要の拡大、2024年1月から7月の「米輸出量」が2023年の同じ時期より2割以上増え、過去最大となるなど、米不足の要因が多数重なっている。
これを受けて、農水省は4日、関係業者を集めて会議を実施した。
生産業者からは、「コストの上昇をふまえると、値上げは必要だ」との意見が上がった一方、「新米の育ち具合は多くの産地で順調だ」との声も聞かれた。
茨城・古河市の直売所「道の駅まくらがの里こが」では、収穫したての新米を求め、多くの人が訪れていたが、値段の高さに戸惑いの声が上がっていた。
客(60代):
5kgで500円くらい高くなっていると思う。
別の客(60代):
5kgで3000円以上するので、ちょっと高くなったなと。
卸を通さないため、スーパーなどより値段が抑えられる傾向があるものの、前年より1割程度高いという。
一方、たわわに実った稲穂の前では、食品宅配大手「オイシックス・ラ・大地」が、『2025年度の新米予約』を9月5日からスタートすると発表した。
米不足による不安の高まりから、40%増えたという2024年度の予約。
これを受け、予約開始を半年以上早めた。
オイシックス・ラ・大地・冨士聡子 執行役員:
これからもやはり、おいしいお米を安定して食べていきたいというニーズは強くなっていくかと思いますので、こういった取り組みをより続けていきたいなと思っています。
契約農家から直接仕入れることで、市場価格に左右されず、予約時点での“一定価格”で販売ができるという。
実りの秋を迎えて、米不足の解消が期待される。
“パニック購買”品薄・価格高騰を加速
「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ーー2025年の新米予約サービス、どうご覧になりますか?
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
今起きている、思うようにお米が買えない状態を見ると、消費者にとっては、米不足に対する“保険”として、安心感をもたらすサービスとなっています。
さらに1年先の新米予約は、産地にとっても安定的な収入が見込める利点があります。
堤キャスター:
ーーどうして、お米の品薄が起きてしまったのでしょうか?
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
2023年の夏、暑さによる米の生育不足などが原因とされていますが、計画的に発注している外食などの業務用は、品薄で困っているといったことはありません。
つまり、消費者の「お米が買えなくなる」、「お店にあれば買っておこう」といった「パニック購買」が起きてしまったとされています。
米の品薄を伝える報道や、大阪府知事による備蓄米の放出要請などが、消費者のパニック購買をあおり、さらには、新米の価格まで上がってしまいました。
食糧自給率“38%” 米以外の国産強化が課題
堤キャスター:
ーーこの品薄状態は、いつごろ解消されるのでしょうか?
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
9月に入り、これから新米の4割が順次、市場に出回ることになるため、農水省も品薄は解消するとの見解を示しています。
ただ、「パニック購買」がこのまま続けば、品薄状態が長引き、さらには適正価格を超えて、値段が高騰する可能性もあるため、落ち着いた購買行動が求められます。
一時的な品薄状態にあわてることなく、麺やパンなど小麦系の商品や、パックご飯などの食事を増やすなどの工夫があっていいように思います。
堤キャスター:
ーーお米は主食ですから、やはり安定供給が欠かせないですよね。
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
大きな災害や天候不良などに対する備えとして備蓄米があるため、本当の意味での米不足には、十分対応できるようになっています。
ただ、主食である米に関しては、国内生産によって、ほぼすべてをまかなっていますが、そのほかの肉・魚・野菜などを含めた食糧自給率は38%となっています。食糧安全保障の観点から、日本で食べるものは、日本でつくる食糧自給率の引き上げが求められています。
堤キャスター:
お米は日本人にとって食の根幹です。
それを安定して流通させるために、必要な対策を講じることはもちろん、品薄の連鎖を生み出さないよう、私たち消費者にも冷静な行動が求められています。
(「Live News α」9月4日放送分より)