2024年の「東京おもちゃショー」が開幕し、デジタルトイが注目されている。知育玩具や、大人向けの「キダルト」商品が市場を牽引し、海外観光客による需要も拡大。専門家は、日本のキャラクターコンテンツは強みであり、今後は世界市場を狙えると指摘する。
2024年トレンドは「デジタル」と「キダルト」
東京ビッグサイトで29日、「東京おもちゃショー2024」が開幕した。

今回の「東京おもちゃショー」で、特に注目されているトレンドおもちゃが、「デジタルトイ」だ。

子供でもユーチューバーのように動画が撮影できる、カメラ型のおもちゃ「#バズゅCam」を、実際に記者が撮影してみると、撮ったばかりのものが、すぐに編集されて動画になった。

こちらは、全身を使った直感的な操作で、100種類の職業体験などができるおもちゃ「ePICO たいけん100エディション」で、子供が夢中になれることを見つけられるという。

福井慶仁記者:
私の手足の運動を分析した結果が出ました。私は「ぜいりし」タイプのようです。

遊んだ結果はデータ化・分析され、スマートフォンを使うと詳しい診断結果を見ることができる。

セガ フェイブToysカンパニー メディア部主任・箕箸雄教さん:
お子さんが遊ぶ知育物は多かったが、ご両親にまでお子さんがこういう風に成長しているよとアドバイスするものは今までなかった。ハイテク・デジタルの機能を重視した物が、今とても人気になっている。

日本の玩具市場の規模は2019年以来、4年連続で伸びていて、2023年度初めに1兆円を超えた。この好調さを引っ張っているのが、子ども心を忘れない大人の購買層「キダルト」と呼ばれる人たちだ。

着せ替え人形の定番・リカちゃんの新シリーズは、よくみると、手首や膝など関節が動かせるようになっている。

様々なポージングで撮影でき、SNSへの投稿も見据えた仕様になっている。

さらには、好きなキャラクターやアイドルの写真で、自分だけの推しグッズが作れるおもちゃまであり、大人の”推し活”をターゲットにした商品も注目を集めている。
子供も大人も夢中にさせる、日本のおもちゃ市場の今後の見通しについて聞いた。

日本玩具協会 見本市委員会専門委員・藤井大祐さん:
ハイテクとキダルトと、もうひとつ、インバウンドというキーワードもある。外国人観光客の方がお土産に、日本のおもちゃを買っていくという需要も、今回市場を押し上げた要因のひとつ。日本のキャラクターのぬいぐるみ・コレクションフィギュアというものもお土産として買われていくことが多いので、そこで市場が伸びていくという状態です。
一般公開は、8月31日から2日間行われる予定だ。
楽しい記憶が購買意欲を刺激
「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
玩具バイヤーの経験もある渡辺さんの目には、今回の「おもちゃショー」は、どのように映っていますか。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
28年前にコンビニで玩具バイヤーをしていた当時は、子供たちに「たまごっち」や「ポケモン」などが人気で、業界に勢いがありました。しかし、少子化が進み、子供だけをターゲットにしていてはジリ貧になってしまうので、大人も取り込もうと面白い商品が生まれてきています。
堤キャスター:
会場を訪れて、どんなおもちゃが印象的でしたか。
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
BANDAI SPIRITSの「超合金ルービックキューブ」には、感心しました。これはルービックが超合金ロボットに変形するもので、超合金ロボットやルービックキューブで遊んだ子供の頃を思い出すという大人も多いのではないでしょうか。
「リカちゃん」も、今の時代にあわせてアップデートし、懐かしさを感じながら世代を超えて一緒に遊べるはずです。
過去の楽しい記憶というのは、物を買う強力なスイッチになるため、両親や祖父母が、一緒に楽しく遊びたいと子供に買い与えるという方も多いように思います。
知育玩具とグローバル展開が成長の鍵
堤キャスター:
子供の数が減っていく中で成長を図るには、大人の取り込みが鍵になるようですね。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
大人が惹かれるおもちゃ、子供に買い与えたくなるおもちゃで人気となっているものに、子供の健やかな成長をアシストする「知育玩具」があります。例えば、AIが子供のレベルに合わせて問題を出す知育玩具も登場しています。
堤キャスター:
おもちゃ業界が、さらに成長していくためのポイントは。
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
ポイントは3点あります。
少子化の中で成長を図るには、世代のターゲットを広げる、あるいは、ランドセル業界のように商品単価を上げる、さらに、海外マーケットを取りに行くなどがあります。
おもちゃは日本が得意とするキャラクターコンテンツと親和性があり、海外で日本の漫画やアニメの人気も高いことから、世界市場を取りにいけるように思います。今後は、国境や言葉の壁を越えていくグローバル展開を期待したいです。
堤キャスター:
おもちゃは楽しさとともに、人と人をつなげてくれるものですよね。大人になってから、ふとしたきっかけで、楽しい記憶が蘇ってくる、そんなおもちゃが増えればと思います。
(「Live News α」8月29日放送分より)