男性の育児参加を促進するため、パーソルホールディングスが「イクジアスロン大会」を開催した。
大会では、男性社員が“育児スキル”を競い合い、育休取得の重要性が強調された。
専門家は、育休取得は育児スキル向上に重要で、両立する男性像のロールモデルが必要と指摘する。

「イクジアスロン」で男性が育児スキル競う

26日、人材派遣サービスなどを展開するパーソルホールディングスが、男性の育休取得を広げたいと、おむつ替えなどの子育てスキルを競う「イクジ(育児)アスロン大会」を開催した。

赤ちゃんのおむつ替えレース開始
赤ちゃんのおむつ替えレース開始
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「位置について、よ―い スタート!」と、合図とともに始まったのは、赤ちゃんのおむつ替え。

赤ちゃんを抱っこしてスクワット
赤ちゃんを抱っこしてスクワット

男性社員8人が選手として出場し、抱っこひもで赤ちゃんを抱え買い物へ。
寝かしつけをイメージしたスクワットなどにもチャレンジし、トライアスロンのように、育児をするうえで直面するさまざまな場面を体験した。

おむつ替えするパパを見守る赤ちゃん
おむつ替えするパパを見守る赤ちゃん

生後8カ月の赤ちゃんも、パパの慣れた手つきに熱い視線を注いでいた。

レースに参加した本橋孝昭さん(34)は、10月に第1子が生まれる新米パパで、レース前に、先輩パパから抱っこひものつけ方を教えてもらっていた。
何から何まで初めての経験だが、アドバイスを生かし、しっかりとレースを完走した。

本橋孝昭さん:
抱っこひもを今までやったことがなく、どうやってつければいいか分からなかったんですけど、みなさんのサポートがあって、つけることができました。
実際の子育てと今回は全然違うと思うが、こういうことをやればいいと分かったので、とてもよかったです。家に帰ったら、妻にも報告しようと思います。

2023年度の男性の育休取得率は、初めて30%を突破した。
今後も企業には、パパになる社員のサポート体制が求められている。

パーソルホールディングスでは、男性社員が子どものいる家庭で育児体験を行うなど、社員同士のつながりも深められる取り組みを実施し、2024年3月期の育休取得率は73%にのぼった。

パーソルの部活動「男性育休推進部」・西迫博 副部長:
こういったイベントを通して、みなさんに“育休とってもいいんだ”、“育児は楽しい”という雰囲気を感じ取ってもらえたら。
育休を遠慮しているとか、期間だとか、いろいろ変えていきたい点はあるので、育休取得率100%を目指していきたい。

子供の成長の瞬間を「体験」喜び広げる

「Live News α」では、働き方に関する調査・研究を行っている、オルタナティブワークラボ所長の石倉秀明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーー「イクジアスロン大会」、どうご覧になりますか?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
男性が育休を取らない、もしくは短いと、育児に関するスキルが低くなり、結果として女性が育児を担い続けていくことにつながってしまいます。

育児による男女差をなくしたり、男性だけでも育児をできるようにするには、今回のように、育児に欠かせないおむつ替えなど、男性が素早くできることを楽しくポジティブに表現するのは、1つの手法として有効なのではないでしょうか。

堤キャスター:
ーー大変なことも多い育児ですが、子どもと一緒にいることは、かけがえのない時間なのかもしれませんね。

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
私の周りでは、男性で1年の育休を取得した人がいますし、リモートワークによって家で仕事しながら、育児も積極的にやっている人も少なくないです。

そういう人の話を聞くと、毎日の育児の中で、子どもが少しずついろいろなことができるようになることに気づくのは、親としてすごくうれしいし、子育てへのモチベーションになると言います。

私自身、ずっとリモートワークだったので、初めて寝返りしたり、つかまり立ちした瞬間に立ち会えたのは、すごく良い体験になっています。

こういう体験をする男性が増えて、その喜びや面白さを伝えていくことで、男性で育休を取る人も増えてくるのではないでしょうか。

“仕事と育児を両立”ロールモデルが必要

堤キャスター:
ーー男性が育休を取ることに対する理解を、進めていく必要がありますよね?

オルタナティブワークラボ所長・石倉秀明さん:
例えば、男性で育休を1年取得することで昇進が遅れたり、キャリアを諦めた人とみなされることもまだまだあります。この根底には、男性は仕事で頑張って稼ぐべき、昇進していくべきという価値観が根強いです。

今後、男性は仕事も頑張りながら、1人の親として育児に時間を使うのが普通になりますし、それをしないのは古い、という価値観にいかにアップデートできるかが重要です。

これを実現するには、仕事も育児も全力でやって、楽しんでいる新しい男性像のロールモデルの存在や、その人の生き方が魅力的だとすることが広がっていくことが必要なのではないかと思います。

堤キャスター:
育休の経験が仕事に生かせたり、働くモチベーションを上げることもあるかもしれません。
育休を個人の問題とするのではなく、制度の利用を促す環境づくりなど、企業にできることが問われているように思います。
(「Live News α」8月27日放送分より)