中国軍の情報収集機が26日、長崎県沖で日本領空を侵犯したことについて、木原防衛相は「日本の主権と安全を脅かす重大な侵害」と非難し、意図や目的の分析を進めると述べた。
中国の領空侵犯は、日本の防空能力を探るための意図的なものとも考えられる。
「警戒監視に万全を期す」中国が日本の領空を侵犯
長崎県の男女群島沖で26日、中国軍のY-9情報収集機が、2分間にわたり日本の領空を侵犯した。

27日午前、木原防衛相は記者会見で、「わが国の主権の重大な侵害であるだけでなく、安全を脅かすものであり、まったく受け入れることができない」とコメントした。
中国軍の意図や目的について、「確たることを答えるのは困難だ」として、「分析を進める」と述べた。
また、「中国の軍事動向に強い関心を持って注視するとともに、警戒監視に万全を期す」と強調した。
迎撃の可能性もある緊迫した事態
ここからは、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。
青井実キャスター:
ーー初めての領空侵犯は、意図的なのか偶発的なものなのか、立石さんはどう見ていますか?

立石修解説委員室長:
陸上自衛隊の元東部方面総監の磯部晃一さんは、SNSで「中国軍機は下甑島にある自衛隊のレーダーサイトに向かって直進している」と指摘しています。そのため、日本の防空能力を探るための意図的なものと考えることもできます。
中国軍の情報収集機は非常に複雑な動きをしており、緊急事態に日本の自衛隊がどのような動きをするか見る狙いが考えられます。

青井キャスター:
ーー自衛隊側は、どのような対応をとったのでしょうか?
立石解説委員室長:
自衛隊側は、まず無線による警告を行いました。今回の領空侵犯は2分間だけでしたが、長引けば警告射撃、そして迎撃という可能性もあり、非常に緊迫した事態でした。
青井キャスター:
ーー山口さんは、中国の一連の動きをどう見ていますか?
スペシャルキャスター・山口真由さん:
政情不安のときに領海侵犯されるケースも多く、日本の総裁選やアメリカの大統領選などのタイミングを狙った行動なのか、見逃せない事態になってきていますね。
イタリアの空母が横須賀に入港…NATOとの接近に警戒か
青井キャスター:
ーーなぜ今なのか、背景をどう見ますか?

立石解説委員室長:
実は今、日本がNATO(北大西洋条約機構)と急接近しています。中国はこれをけん制するため、今回の行動に出た可能性もあります。
現在、初めてイタリアの空母が横須賀に入港していて、海上自衛隊と対潜水艦訓練を行います。
中国にとっては、太平洋で日本などと協調するNATOの存在は脅威に映っている可能性もあります。
今後は、ロシアと中国軍が日本周辺で爆撃の訓練を行うことも想定され、警戒が続きそうです。
青井キャスター:
今後、中国外務省の定例会見もありますので、どう説明するのか注目です。
(「イット!」 8月27日放送より)