海と山に囲まれた秋田・八峰町にある創業120年以上の酒蔵が、この夏「特別な体験」の提供を始めた。プライベートな空間で自然の豊かさを感じながら、ぜいたくな時間を過ごす…そんな体験を秋田テレビの佐藤愛純アナウンサーが取材した。

“実験室”がコンセプトの店

世界自然遺産・白神山地や日本海に囲まれた自然豊かな町、秋田・八峰町。

この記事の画像(14枚)

この地に2023年3月、日本酒を飲む人・造る人の夢が詰まった“酒好きのパラダイス”といえる店「LABO and CAFE YAMAMOTO」がオープンした。1901年創業の山本酒造店が手がける店だ。

山本酒造店の“実験室”というのがコンセプトというこの店。酒蔵本体で造らない実験的な酒を今も造っていて、しぼりたての酒をカウンターのサーバーから直接グラスに注ぎ、お客さんにその出来栄えを楽しんでもらうというのが店の特徴だ。

「お客さん皆さんそれぞれ好みの味があるので、いろいろな人の意見を聞きながら参考にしている。そういうリサーチの場でもある」と山本酒造店・山本友文社長は語る。

白神山地に生息する植物が植えられた庭を眺めながら日本酒をたしなめる。

今年から始まったランチプレート 1300円(税込み)
今年から始まったランチプレート 1300円(税込み)

2024年からはランチメニューが始まった。
パリッとしたクロワッサンの生地に生ハムがたっぷりと入り、生ハムのうまみが広がるメニューとなっている。

山本酒造店の酒かすを使った、いぶりがっこがアクセントのピザも人気メニューの1つだ。

日本酒はもちろん、ここでしか味わえないピエール・エルメ・パリのマカロンなどを求めて、県の内外、さらには海外からも多くの客が足を運ぶ。

古民家をリノベし一棟貸しの宿オープン

秋田の良さをさらに感じてもらおうと、山本酒造店はこの夏、ある取り組みを始めた。それが、一棟貸しの宿「お宿 山本」だ。築85年の古民家をリノベーションして7月にオープンした。

日本家屋の良さを生かしながら現代風にアレンジしたというこの宿。木製の雨戸を開けると、目の前に日本海が広がる。天気が良ければ男鹿半島も正面に見えるという。

「宿からこんなにぜいたくな景色が眺められるなんてなかなかないですよね」と秋田テレビ・佐藤愛純アナウンサーは興奮気味だ。

山本酒造店・山本友文社長:
右手に岩館漁港があり、ちょうどいま船が戻ってきている。海風と波の音。建物の右から左までがパノラマで海の景色を楽しめる。八峰町八森地区の良い所がすべて凝縮されたような場所。

家屋の至る所に“こだわり”が

「お宿 山本」は、店を訪れた客からの「秋田らしい景色を楽しみながらゆっくりできる場所で過ごしたい」という声を受けて誕生した。

天然の秋田杉でつくられた家屋の至る所に遊び心やこだわりが見られる。

食事は、自分たちで作るのもよし。地元の食材をふんだんに使った和御膳を注文するもよし。屋外にある東屋でバーベキューを楽しむもよしと、それぞれのスタイルに合わせて楽しめる。

希少な「十和田石」を使用した浴室
希少な「十和田石」を使用した浴室

新たに設けた浴室には、希少な「十和田石」を使用。日本海を眺めながら、ゆっくりくつろげる。

さらに、宿に日本酒サーバーを設置。山本の定番から季節商品まで、常時6種類の酒が楽しめるようになっている。酒蔵ならではのサービス。

宿泊者には山本オリジナルコインが10枚渡される。1枚で70mlの酒をプレゼント。山本ファンにはたまらないサービス。他にも無料のオプションとして、普段は行っていない酒蔵見学ができるのも、宿泊者だけの楽しみだ。

山本酒造店・山本友文社長:
八峰町は海と山があって風光明媚(めいび)な良い場所なので、そういう意味では人を呼び込むには良い場所だと考えている。ここに滞在することによって、秋田・八峰町の魅力を感じてほしいと思っている。特に戦前の古民家はなかなかこの地域には少ない。こういう古民家は非常に海外の人に好まれるので、そういう人を新たに呼び込めるのではないかと期待している。

秋田の日常に溶け込んでいるようでいて、「非日常」が楽しめる空間。
そんな「お宿 山本」で、目の前に広がる雄大な景色をさかなに、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがだろうか。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
秋田テレビ

秋田の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。