グーグルが最新の生成AI(人工知能)を搭載した新型スマートフォン「Pixel 9」シリーズを発表した。
AIを使ったカメラ機能の向上や検索機能の強化により、スマホ体験が大きく変わると期待されるが、専門家は競争阻害のリスクも指摘している。
グーグル「Pixel 9」発表…日本でのシェア拡大へ
グーグルが、最先端の生成AIを搭載した新型のスマートフォンを発表した。
この記事の画像(11枚)アメリカのグーグルは13日、新型のスマートフォン「Google Pixel 9」シリーズを発表した。
最先端の生成AIが搭載され、カメラ機能が大幅に向上。
撮影者が交代して集合写真を撮ると、AIが2枚を合成して、全員が映ったグループ写真を作ることができる。
また、インターネットなどを使った検索機能が強化された。
日本の市場ではアップルのiPhone一強が続く中、シェア1割程度とされるグーグルが、シェアの拡大を目指す。
AI普及で「存在しない」データのリスク拡大
「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーにくわしい、IoT NEWS代表・小泉耕二さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ーーグーグルの新しいスマートフォンには、最先端の生成AIが搭載されているようですね?
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
今回、標準装備された「Gemini」と呼ばれている生成AIによって、今後もさらなる進化を遂げていくと思われます。
この進化で重要なのは、グーグルが、デバイスからOS、アプリ、クラウドに至るまで、すべてを提供可能な垂直統合型の企業であるというところです。日常的に使うサービスやソフトウエアのデータが連携し、生成AIがインタフェースとなることで、新たな体験が生まれます。
さらに、スマホのAIは、スマホ内のアプリだけでなく、外にある飛行機や宿の予約データ、ECサイトの情報など、さまざまなデータを有機的につないで、意味を持たせ、人とやり取りすることができるようになるはずです。
堤キャスター:
ーースマホとの向き合い方が変わってくるかもしれませんね。
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
「何かについて調べる」ということ、1つとっても、検索をして多くの情報の中から判断するという行為は残るものの、AIが知っているデータから生まれる文脈をそのまま信じるという人が増えるはずです。
こうなると、今後、サービス企業は、スマホとデータ連携をしなければ、「AIが知らないデータ」を持っていることになります。これは多くの人にとって、データが存在しないのと同じという状態が生まれる可能性すらあるといえます。
プラットフォーム“標準”が競争を阻害…参入障壁の懸念
堤キャスター:
ーースマホが進化する一方、新たな課題も出てくるようですね?
IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
例えば、以前はiPadに計算機が標準ではインストールされていなかったのですが、新しいiPadでは標準でインストールされています。すると、計算機が必要な人は、自分で選んで端末に計算機をインストールしなくなります。
このケースのように、いろんなアプリケーションが、プラットフォームの標準として搭載されていくことで、競争が阻害される可能性があります。実際、アメリカの司法省はグーグルに対して、検索サービスとその広告を独占しているとして、独占禁止法違反の訴えを起こしています。
つまり、今後、アプリとデータが有機的につながり、これまでにない体験ができるようになる一方で、新しいアプリやサービスを作った企業の参入が難しい状況になってしまうという可能性もあります。
考えが分かれるところであると思いますが、こういった公平性の観点も考慮しつつ、技術の進化を享受できるようにしていく必要があります。
堤キャスター:
スマートフォンは私たちの生活に欠かせないものになってきています。
まざまな技術が進化していく中で、デジタルは便利な道具として、あくまでその力を借りるものとしてとらえることも大切なように思います。
(「Live News α」8月14日放送分より)