パリオリンピック卓球男子団体の準決勝で日本を破ったスウェーデンチームのエースで、シングルス銀メダリストでもあるトルルス・モーレゴード選手が俄に注目されている。その理由は、独特なラケットの形だ。

一般的な卓球のラケットのイメージといえば、楕円形に近い形で、ペンホルダーかシェイクハンドかの違いくらいしか思い浮かばないだろう。しかし、モーレゴード選手のラケットは六角形にも見える、角張った多角形なのだ。

モーレゴード選手は団体戦で張本選手と戸上選手と激闘を繰り広げたが、試合を見ていて、このラケットが気になった人も多かった事だろう。
ラケットの形に制限なし
SNSには「初めて見た」「あれ何が有利なの?」「あのラケット使っても良いんだ?」といった声が多数寄せられた。
実は卓球のラケットの形や大きさには制限がない。自由だ。
バラエティー番組に登場するような巨大ラケットや穴あきラケットも、それがルール違反になることはない(ただ日本国内の大会では日本卓球協会が審査を行い公認済のラケットしか使用できない)。
そして、モーレゴード選手が使用しているような多角形のラケットは、実は普通に販売されているのだ。
打撃エリアが広い!
製造しているのは、スウェーデンに本社がある「スティガ」だ。スティガはヨーロッパ最古の卓球ブランドで、日本にも進出しており、日本でも購入可能だ。

スティガジャパンによると、モーレゴード選手が使っている多角形のラケットは「サイバーシェイプ」という製品。この独特の形状はKTHロイヤル工科大学と契約選手とが協力して開発したもの。これまでの概念にとらわれず、100種類以上のラケット形状を研究し、ボールの衝撃による振動をより良く感じながら、スイートスポットをより大きくする最適な形状を見つけ出したとしている。

楕円形のラケットと比べて、打撃エリアは9~11%大きくなり、スイートスポットも大きくなっているという。また卓球台スレスレでラケットを振りやすくなっているとしている。
スティガスポーツジャパン・プロモーション部の田村大樹さんに、多角形ラケットが話題になっている受け止めを聞くと、「卓球を知らない人たちに、卓球に興味をもってもらうきっかけになればうれしい」とのこと。

田村さんによると、モーレゴート選手は2021年11月の世界選手権で銀メダルを獲得した時くらいからサイバーシェイプを使い始め、それ以来愛用しているということだ。
日本では2021年12月から販売していて、7月に行われた小学生の全国大会で入賞した選手も使っていたという。
気になる価格だが、モーレゴード選手使用の最上級のカーボン製のモデルは4万4000円。他に木製のものもあり、価格帯は3万円台、2万円台、最も手頃なモデルが1万780円となっている。