経産省は、ガソリン価格が4週連続で値下がりし、1リットルあたり174円60銭であると発表した。専門家は、ハマスの最高指導者の殺害を受けて、イランが近くイスラエルに報復攻撃を行う可能性が伝えられていて、地政学的リスクが高まっていると指摘する。
ガソリン値下がりも都道府県により価格差
お盆シーズンを前に、ガソリン価格が4週連続で値下がりしている。
この記事の画像(11枚)経済産業省は2024年8月5日現在のレギュラーガソリンの全国平均小売価格について、前週より30銭安い1リットル当たり174円60銭だったと発表した。値下がりは4週連続となる。
値下がりは、アメリカや中国の景気に対する先行きへの懸念で、需要が落ち込んだことや、円高が進んだことなどが影響したとしている。
ただ、都道府県別の小売価格では、35道府県で値下がりする一方、11都県で値上がり、1県で横ばいとなっている。
石油情報センターは、お盆に入る翌週以降も、全体で小幅な値動きが続くため、都道府県によって価格の上下に差が出る可能性があると分析している。
政府の補助金なければガソリン200円超えも
「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ガソリン価格の値下がり、どうご覧になりますか。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
盆休みの前に、ありがたいですよね。いま為替が、円高に振れていて、これからアメリカの利下げが始まれば、エネルギーの輸入コストは下がると見られています。
ただし、ガソリン価格の値下がりが続くかどうかは不透明で、あまり期待できないかもしれません。
堤キャスター:
それは、どういうことでしょうか。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
産油国は、原油の生産量を少なくして市場に出回る量を調整することで、原油価格を保ち、利益を得ています。
2020年には1バレル=20ドル台でしたが、現在は70ドル台で推移しています。こうした原油価格の高止まりに対して、政府が石油元売り会社に補助金を支給しています。
この補助金の抑制がなければ、7月末の時点で、ガソリンは1リットル=200円を超えていました。
中東情勢悪化で再エネの"国内確保”が重要に
堤キャスター:
日本は輸入に頼るものが多く、海外の影響を強く受けてしまいますよね。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
中東情勢の悪化は、原油価格の急騰につながります。ハマスの最高指導者の殺害を受けて、イランは近く、イスラエルに報復攻撃を行う可能性が伝えられていて、地政学的リスクが高まっています。
だからこそ、再生可能エネルギーから原発を含めて、エネルギーの国内確保は重要です。ガソリンの値上がりは、物流コスト上昇につながり、すべての商品サービスの価格に影響します。
堤キャスター:
物価高に負けない、もう一歩踏み込んだ賃上げというのも求められますよね。
経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
6月の毎月勤労統計によると、実質賃金は前の年の同じ時期に比べて、プラス1.1%と27カ月ぶりにプラスとなりました。
ただし、これはボーナスなど一時金がプラス7.7%と上振れた一時的な側面があります。加えて、足元で急速に為替や株が動きました。何においても急激な変動は好ましくありません。
7月に金利の引き上げがありましたが、政策を変更する際には、丁寧な説明が求められます。
堤キャスター:
エネルギーの多くを輸入に頼る日本は、中東の地政学的リスクと常に向き合うことが求められます。暮らしを支えるガソリン価格の行方を注視していきたいと思います。
(「Live News α」8月7日放送分より)