熊本地震で建物が傾くなどの被害が出た、熊本城の田子櫓(たごやぐら)など、5つの櫓の解体・復旧工事が始まるのを前に報道陣に公開された。

2016年の熊本地震で土壁崩落

公開されたのは、いずれも国の重要文化財に指定されている田子櫓(たごやぐら)、七間櫓(しちけんやぐら)、十四間櫓(じゅうよんけんやぐら)、四間櫓(よんけんやぐら)、源之進櫓(げんのしんやぐら)の5つ。

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天守閣の南東に位置することから、南東櫓群とも呼ばれている。詳しい創建年代は不明だが、絵図などから江戸時代の初期に建てられたとみられている。

2016年の熊本地震では、柱の傾きや外壁破損などの被害が出て、田子櫓と七間櫓については地震直後に倒壊を防ぐための応急措置が施された。

櫓の扉が開いて、中が見られる状態で報道公開されるのは熊本地震後初めてで、中は土壁が崩落し、地震の被害が大きかったことがうかがえる。

建物に入ると見えてくるのは、防衛のための機能だ。石垣の角、角石(すみいし)の上には全て『石落とし』が設置され、城の外側の壁には柱ごとに鉄砲の筒先を入れるための小窓『狭間』が設けられるなど、戦に備えていたことが分かる。

復旧完了は2026年9月の予定

この5つの櫓のうち被害の大きかった田子櫓と七間櫓は建物全てを解体。残る3つの櫓は柱や梁といった軸組みだけを残して、あとは解体される。今後、建物を雨から守る素屋根を取り付け、2025年1月から本格的な解体工事が始まる。

熊本城総合事務所・復旧整備課の岩佐康弘課長は「特別見学通路からご覧いただけますので、いついらっしゃっても姿が見ることができます。素屋根で櫓は囲ってしまいますけど、表にはメッシュ、網をつけますので中の様子もご覧いただく、そういったところで作業を進めていきたいと思います」と、熊本城の『見せる復興』をアピールした。

5つの櫓の復旧完了は2026年9月の予定だ。

(テレビ熊本)

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