日本時間28日午前1時すぎ。パリオリンピックで日本勢第1号の金メダルに輝いた柔道女子48キロ級の角田夏実選手31歳。
女子48キロ級での金メダルはヤワラちゃんこと、谷亮子さん以来20年ぶり!日本柔道女子では史上最年長の金メダリストとなりました。
メダル獲得から一夜明け、角田選手はフジテレビの番組に出演。
――金メダルの感触は?
角田夏実選手:
まだあまり実感がわいていない方が強いです。
――決勝の前笑ってましたけど…頭の中で何を考えていたのか教えていただけますか?
角田夏実選手:
(笑顔で、決勝前に考えていたことは「金・ご飯・温泉」というイラストを手に持って…)
――温泉、ご飯、金どういうことですか?(笑)
角田夏実選手:
そうですね。メダルはしっかり取りたいっていうのはあったんですけど、減量をずっとしていたのでご飯のことは忘れられずに…。
――金よりご飯の方が(サイズが)大きいですもんね!ご飯は何を食べましょうか?
角田夏実選手:
日本に帰ったら餃子とご飯を食べたいなと思ってます。
52キロ級から48キロ級へ…階級変更の苦しい日々…
2021年から、世界の名だたる大会で優勝してきた角田選手ですが、実は2018年までは52キロ級でした。
その階級には…東京オリンピックで金メダルに輝く阿部詩選手がいたのです。
角田選手は階級の変更を決断します。
角田夏実選手:
減量もきつかったり、慣れない・・・やっぱりひと階級変わるだけで柔道スタイルも変わってしまうので。
東京オリンピックの代表は落選し、このとき既に28歳。一時は引退を考えました。
角田夏実選手:
48(kg)では厳しいと思ったんですけど五輪という部分があったので自分にかけてみたいなと、後悔はしたくないなと思ったので。
厳しい減量と向き合いながら、パリ五輪という目標に向かって戦い続けた角田選手。
自身のYouTubeでは、減量と向き合う日々を公開していました。
そこには、身長162㎝とは思えない、絞られたウエストの映像が…。
友人:
59センチです…細っそ!
角田夏実選手:
いま、48キロジャストです。あばら同士が当たって痛い…
あるときは、鶏胸肉のダイエットサラダを今井コーチと一緒に食べるシーンも。
今井コーチ:
めっちゃ美味しい!
角田夏実選手:
本当ですか?今日のはいつもよりも攻めちゃったな。
今井コーチ:
トマトくたくたです、私はシャキシャキ派です(笑)でも美味しい。
そんな過酷な減量を乗り越え、角田選手が今井コーチと共につかんだ初めての“五輪切符”。
角田夏実選手:
本当に何度も引退しようかなと思ったんですけど、やっぱり諦めないでここまでやってきて良かったなと思っています。
貫き続けたスタイル「ともえ投げ」
角田選手には、こだわりのスタイルがありました。
パリ五輪で1回戦から決勝戦まで繰り出し続けた技、「ともえ投げ」です。
「巴投げいったー!一本!」
「技あり~!」
念願の金メダル獲得。
角田選手は表情を変えずに相手と握手を交わし、健闘を称えます。しかし、畳を降りると今井コーチを見つけ、泣きながら抱き合って喜びを分かち合いました。
――おめでとうございます。コーチと抱き合って思いも溢れていましたが?
角田夏実選手:
まだあんまり実感ないんですけど、本当、ずっとここを目指してやってきたので、やっぱりコーチがうれしがってくれたのが、一番うれしかったです。
――最後まで自分の武器を出し続けましたが?
角田夏実選手:
最後まで自分を信じて戦おうと思いました。
―31歳で初めてのオリンピック、ケガなどの戦いもあったけど乗り越えた今の気持ちは?
角田夏実選手:
本当に乗り越えられるかっていうのが不安すぎて、自分で勝てるのかっていうのはずっと感じてたので成長できたのかなと思います。
ロンドン五輪銀メダリストが見た究極の「ともえ投げ」
めざまし8スタジオには、ロンドンオリンピック女子78キロ超級銀メダリストの杉本美香さんをゲストに迎え、解説していただきました。
橋下徹弁護士:
48キロ級であのウエストの細さでできるっていうか、優勝されてるんですけど、筋力とか大丈夫なんですか?
ロンドン五輪銀メダリスト 杉本美香さん:
体重も落としながら筋力は落とさないようにっていうのも研究してるので、そこはほんとに…。
橋下徹弁護士:
ともえ投げって、高校の授業の時とかにみんなやりたがるんですけど、あんなきれいに決まるものなんですね?
ロンドン五輪銀メダリスト 杉本美香さん:
相当練習してますね。でも、ただ単に巴投げしてるだけじゃなく、相手の反応を見てどっちに落とすかとか変えてるんですよ。
MC谷原章介:
相手も、ともえ投げってわかって研究してきてる、でもそれを超えて投げてる。
ロンドン五輪銀メダリスト 杉本美香さん:
あきらめないで今大会は、ずっと巴投をかけてました。
MC谷原章介:
選手にとって階級変えることってどのくらい大変なことなんですか?
ロンドン五輪銀メダリスト 杉本美香さん:
結構減量で根をあげるって人は多いんですけど、角田選手の場合は階級を下げるっていうのはかなり思い切った選択。何が大変かっていうと、対戦相手の柔道スタイルが変わってくるんですね。48キロだと身長も変わるし柔道スタイルも変わってくる、そこに対応して、視野に入れて研究しないといけない。減量プラスアルファそれもやっていかないといけないので、本当に大変だったと思います。
MC谷原章介:
試合をみていたら、どっちかというと相手より身長が高かく見えることが多かったんですが、身長が高いことって有利不利どっちに働くんですか?
ロンドン五輪銀メダリスト 杉本美香さん:
角田選手は、自ら有利に持って行った感じですね、リーチも長くて脚も長いし。48キロ級になれば身長も低くなってくる。そうすると、長い脚で巴投げに入ってそのまま持ち上げられて、そこから投げられるという、自分の体を生かして自分の得意技を作ったんですね。
MC谷原章介:
ともえ投げから固め技って全部セットになってますけど、一連で練習するものなんですか?
ロンドン五輪銀メダリスト 杉本美香さん:
練習してます。巴投げってリスクがあるんです。かけられた後に失敗すると押さえ込まれて負けてしまう。角田選手はともえ投げをかけた後に、腕肘十字固めやその関節技があるから思い切ってともえ投げをかけられる。そのセットがあることによって自分で安心感を作っていた。角田選手のスタイルです。
(めざまし8 7月29日放送より)