東京都では新たに200人超の感染が判明...病床数はひっ迫

8月13日、東京では新たに206人の新型コロナウイルス感染が確認された。

13日は専門家らによるモニタリング会議が行われ、8月5日までの1週間と12日までの1週間の状況が比較された。

状況の主な変化を見ると、新規陽性者数は8月5日までの1週間が346.3人だったのに対し、12日までの1週間では312.7人と減少した。だが、入院患者数で見ると、8月5日までの1週間が1475人なのに対し、12日までの一週間では1659人と、200人近く増加していた。

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東京都が現在確保している病床数は2400床のため、既に7割が埋まっていることになる。

この分析なども踏まえて、感染状況については引き続き、最も深刻な「感染が拡大している」という判定がされた。医療提供体制については、医療機関への負担が強まっているとして、こちらも引き続き、上から2番目に深刻な「体制強化が必要である」としている。

感染防止ステッカーの掲示店なのにクラスター発生

こうした現状の中、東京都が普及に力を入れている「感染防止徹底宣言ステッカー」が掲示された、東京・江戸川区のフィリピンパブで従業員と客、併せて8人の集団感染が確認されている。

きっかけは7月30日、60代男性の感染が判明したことで、男性の行動を調べたところフィリピンパブに行っていたことがわかり、濃厚接触者である従業員を検査したところ、女性7人の感染が確認されたという。ただ現在、この男性が7人に感染させたかどうかまでは分かっていない。

東京都の小池知事はこのフィリピンパブについて「客の感染判明で早めに休業するなどしている」と話すとともに、「感染の拡大防止策を講じていないのにステッカーを貼っていたということではない」と説明しているが、店側の了解を得てステッカーは撤去されたという。

実はこのステッカー…東京都のホームページから申請すると誰でも印刷することが可能

業種ごとに約20項目のチェックシートを記入し、専用フォームに入力するとオンラインで取得、印刷することができる仕組み。自己申告制のため、審査などは行われないという。

このステッカーは13日午前9時時点で、約17万5000件の申し込みがされているという。

感染防止ステッカーの存在意義に疑問の声も

Live News it!のスタジオでは…

加藤綾子キャスター:
柳澤さん、このステッカー貼ってくださいと言われた時から、大丈夫なのかな、誰でも申請できちゃってというような懸念はありましたよね?

柳澤秀夫氏(ジャーナリスト):
2週間前にこの番組に出演したときに、ちょうど同じことを言っているんですよね。これでは意味がないんじゃないかって。ステッカーを貼ってあるのは、安心のいわば保険なわけですよ。こういう状況になってしまったら誰も信用しなくなっちゃうんじゃないかな

加藤綾子キャスター:
感染が出たときにどういう対応をするかということも示されていないわけですよね。街の皆さんはこのニュースを受けて受け止めているのでしょうか?聞いてみました

40代・女性:
シールが貼ってあるところは、そういう掃除とかが行き届いているのかなと思っていたので。どういう調査をしてシールを配ってるのかなっていうのはちょっと疑問に思いました。ステッカー…変な話見る意味ないのかなって思いますよね

60代・男性:
どうしようもない部分があると思いますよね。(ウイルスを)持っている人が入っちゃえば防げないし、お店の人も分からないし、致し方ないところもありますね。(感染が)あり得るっていうことを前提で、そういうところでご飯を食べるということだと思う

都内で感染防止ステッカーを掲示している飲食店「炭火串焼 串まる」の店長に聞くと...。

炭火串焼 串まる 工藤章店長:
お客さんに対してうちは(対策を)やってるっていう安心感を持ってもらいたいのはありますね。それでステッカーつけました

ーーステッカー申請の経緯は?

炭火串焼 串まる 工藤章店長:
チェック項目の中でできるなっていうのは全部しましたけど、行政の方が直接チェックされてないのでいくらでも抜け道ができちゃうんじゃないかなっては感じましたね。全てのお店がその通りにしてるのかっていうのは、ちょっと疑問に思います

掲示させるならチェック体制が必要では?

加藤綾子キャスター:
この状況ですから、どういった状況で感染するかもわからないですけれども、一つの安心材料にしたいのに、そこに何かルール体制がないと、それが意味をなすのかなというような疑問が生まれてきてしまうわけですが、二木先生はどうご覧になりますか?

二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
自己申告で出せるところに1つ問題があるのと、小池さんもおっしゃってましたけど、利用する側の人も注意していただいて。せっかくお店が守っても、パブのようなところでは大きい声出しちゃったりしたらうつっちゃいますし。それからもう1つ難しいところは、この従業員の人たち。お店でうつったというよりも、こういうところでお勤めの方は寮みたいにして、皆さん一緒に過ごすでしょう

加藤綾子キャスター:
その中での集団生活ということですか?

二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
そういうところの管理も考えなければいけない。なかなかステッカーだけでは問題が解決しない

加藤綾子キャスター:
ちゃんとやってる人が損をしてしまうというようなところだけは、なくしてほしいですね?

柳澤秀夫氏(ジャーナリスト):
小池知事も利用するときはステッカーを貼ってあるお店を利用してください、貼ってないところは利用しないでくださいと言っていたわけですからね。そこまで言うんだったら最低限、都がこの要件を満たしているかどうかチェックするということは担保しておかないと。このステッカーの意味は全くないと思います

加藤綾子キャスター:
いま、それでなくても忙しい状況で、人手がという問題もありますよね。ただ、今の現状に合う不安を払拭できるようなルールみたいなのをどんどん更新していくというのはどうなのかなと思ったんですよね。今はルールはなくても、ステッカーに対して

柳澤秀夫氏(ジャーナリスト):
気づいたらそこを直していけばいいんですよね。だからそういう臨機応変に柔軟に対応することも求められると思いますよ

(「Live News it!」8月13日放送分より)

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